どうも。コンカズ (@konkazuk) と申します。
前回の記事「私たちは1日にどれくらいCO₂を排出しているのか?【一人あたり平均で解説】」では、タイトルどおり、私たちが1日に平均でどのくらいのCO₂を出しているのかを、大まかに紹介しました。
そして、今回は、個人のカーボンフットプリントの約20〜30%を占めると言われる「食事」に注目し、どんなタイプの食事がどれだけのCO₂排出につながっているのかを、具体例をあげながら見ていきます。
*この記事では分かりやすさを優先し、温室効果ガス全体の排出量を「CO₂」と表記しています。実際には、メタンなども含めた「CO₂換算(CO₂e)」の値となります。
食事のカーボンフットプリント

さて、まず最初に、ここでカーボンフットプリントについて少し復習しておきましょう。
カーボンフットプリントとは、
製品・サービス・組織・活動などが、作る・使う・処分するといった一連の過程で排出する温室効果ガスの総量を表したもの。
これを食事の場合に当てはめると、料理する、しないにかかわらず、
食材を育てる
加工する
運ぶ
冷蔵する
調理する
生ゴミを処分する
といった一連の過程があり、これらすべての段階で排出されるCO₂の合計が、食事のカーボンフットプリントとなります。
そこで、どんな食事をするかによって排出されるCO₂の合計は大きく違ってきてしまうわけですが、目安としてよく知られているのが…
▫️ 牛肉 ➔ 排出量がかなり多い
▫️ 豚肉・鶏肉 ➔ 中くらい
▫️ 魚・卵・乳製品 ➔ まあまあ少ない
▫️ 豆・野菜・穀物 ➔ かなり少ない
ここでは上の4つの分野について、それぞれ具体的な例を挙げながら、カーボンフットプリントの量を数値で見ていきます。
牛肉を使った料理 (排出量多い)

まず、食品の中で最も排出量が多い代表例が牛肉です。
牛肉1kgを生産する際に排出されるカーボンフットプリントは、生産から流通、販売に至るまでを含めて、およそ25〜60kgとされています。
これを平均して、
1kgあたり約30kgのCO₂
と紹介されることが多いです。
牛肉のカーボンフットプリントが他の肉よりも高い理由ですが、そのひとつが、
牛が反芻動物で、消化の過程でメタンガスを大量に排出する
というポイント。

メタンガスはCO₂の約28倍の温暖化効果を持っています。
他にも、飼料生産のためには広大な土地が必要となるため、森林伐採によるCO₂排出が起きやすいというのと、成長に時間がかかるため、エネルギーの効率が悪いという理由が挙げられます。
🔹牛肉を1食食べた場合の排出量
まず、スーパーで売られている牛肉ですが、日本の場合は以下の通り。
薄切り・切り落とし:150~250g
ステーキ1枚:180~250g
焼肉用1人前:200g前後
これらを踏まえると、1人分=約200gと考えることができます。
一方、イギリスのスーパーでは、ステーキのパックは250g前後が一般的なので、1人分=約250gと考えられます。
そこで、牛肉1kgあたりのカーボンフットプリントを約30kgのCO₂とすると、一食あたり
🇯🇵 0.2kg × 30 kg = 約6 kg
🇬🇧 0.25kg × 30 kg = 約7.5kg
という計算になります。
*なお、前回の記事で紹介した「牛肉を使った食事1回分=約2〜3kg」という数字は、牛丼やコンビニ弁当などで、実際に使われる牛肉の量(50〜100g程度)を想定したものです。ステーキや焼肉のように牛肉そのものを200g前後食べる場合には、排出量は6kg前後まで増えると考えられます。
例
牛丼1杯 ➔ 0.07kg x 30kg = 約2kg
焼肉200g ➔ 0.2kg x 30kg = 約6kg
ステーキ1枚 ➔ 0.25kg x 30kg = 約7.5kg
豚肉・鶏肉を使った料理 (排出量中ぐらい)

さて、次に豚肉と鶏肉を見ていきましょう。
牛肉ほどではないものの、それなりのCO₂が排出されています。
豚肉、鶏肉1kgを生産する際に排出されるカーボンフットプリントは、それぞれ…
豚肉 : 約10〜13kg
鶏肉 : 約5〜7kg
とされており、牛肉と比べると比較的少なめ。
さらに、豚や鶏は牛のような反芻動物ではないので、消化の過程でメタンをほとんど排出しません。また、成長が速く、飼料効率が良いことも排出量が抑えられる理由のひとつと言えます。
ただし、飼料生産や糞尿処理の過程で、やっぱりそれなりの排出があることは事実です。
ここで、先ほどの牛肉と比較してみると、同じ1kgでも
豚肉 : 牛肉の約2分の1〜3分の1の排出量
鶏肉 : 牛肉の約5分の1の排出量
という割合になるので、肉類の中では鶏肉の環境負荷が比較的低いとよく言われる理由がこれで理解できると思います。
魚・卵・乳製品 (排出量少なめ)

▪️魚のCO₂排出量
魚は「肉より環境にやさしい」と思われがちですが、実は漁法や養殖方法によってCO₂排出量には意外と差があるようです。
ここで代表的なものを含めて表にしてみると…
| タイプ | 代表例 | カーボンフットプリント | 主な理由 |
| 養殖魚 | サーモン | 約4〜6kg | 餌の生産、養殖設備のエネルギー使用 |
| 天然の小魚 | イワシ・サバ | 約1〜3kg | 餌が不要、漁獲効率が高い |
| 二枚貝 | ムール貝・カキ | 1kg未満 | プランクトンを利用、飼料不要 |
| 甲殻類 | エビ・カニ | 約5〜10kg以上 | 養殖・漁獲ともにエネルギーの消費大 |
見ての通り、意外にも魚介類の中では、甲殻類が比較的排出量が高いということがわかります。
ただし、ここで注意したいのが漁法の違いです。たとえば、底引き網漁は大量の燃料を使うため、同じ魚でも排出量が高くなってきます。
つまり、魚の種類だけでなく、それらが「どうやって獲られたか」も、カーボンフットプリントを知るうえで重要なポイントになってくるわけです。
▪️卵・乳製品のCO₂排出量
卵や乳製品は、カーボンフットプリントが植物性の食品よりは高いものの、肉類よりは低いというイメージがあると思います。
卵 : 約4〜5kg
牛乳 : 約1〜2kg
しかし、意外と見落とされがちなのがチーズ。
チーズを作るには大量の牛乳が使われるため、こんな感じになってしまいます。
チーズ : 約8〜13kg
鶏肉よりも排出量が多いです。
種類や製法によっては、豚肉と同程度になることもあるそうです。
豆・野菜・穀物 (排出量かなり少ない)

最後は、豆・野菜・穀物といった植物性食品です。
結論から言うと、全体的にカーボンフットプリントはかなり低めということで、食事の中でも、環境への負荷がかなり低いグループとなります。
これらを1kg生産する際に排出されるカーボンフットプリントは、それぞれ…
豆類 (大豆・レンズ豆など):約 0.5~2kg
米:約2〜4kg
小麦・パン:約 1~1.5kg
野菜 (じゃがいも・人参など):約 0.2~0.8kg
米は水田からメタンが出るため、やや高めとなりますが、肉や魚と比べると桁違いに少ないのが特徴です。
これに関しては…
▫️家畜を介さず、直接食べるので効率が良い
▫️反芻動物のようなメタン発生がほぼない
▫️土地・水・エネルギーの使用量が比較的少ない
などの理由が挙げられます。

つまり、生産構造がシンプルで、エネルギーのロスが少ないのです。
ここで比べてみると、
同じ量の温室効果ガスを排出しても、豆類なら15~50kg生産できるのに対し、牛肉はたった1kgしか生産できません。
ここの違いはデカいですね。
もちろん、豆類と肉では含まれるアミノ酸の種類などに違いはありますが、同じ「タンパク質」を摂るとのに、肉ばかり食べていては、結果として環境破壊の進むスピードを速めるのに貢献してしまうという事がよくわかります。
まとめ

以上のことから、毎日の食事で何を食べるかによって、私たちの排出する温暖化ガスの量にかなりの違いが現れてくることが理解できたと思います。
一番覚えておきたいのは、牛肉が食事全体のカーボンフットプリントを大きく左右するということ。
そして、肉の種類だけでも排出量がかなり異なってくるという事実です。
大事なのは、完全にある食材を断ち切るのではなく、食べる量や頻度を意識する事ではないでしょうか?
牛肉を食べる回数を減らして、鶏や魚、豆に置き換えるだけで、温室効果ガスの排出量を大きく削減することができます。
2050年ごろに、産業革命以前からの世界平均気温の上昇が2℃に達した場合、深刻な「世界食糧危機」が起きると懸念されています。
それを避けるための必須条件が、2030年までに気温上昇を1.5℃以下に抑えること。
そして、そのためには、私たち一人ひとりの1日のCO₂排出量を約6kg以内に抑えていく必要があります。
こうした前提を頭に入れながら、みなさん日々の食事の内容にもしっかりと意識を向けていきましょう。
それでは、また。
コンカズ
*この記事の英語ヴァージョンはこちらから
👉 Carbon Footprint of Food: How Your Daily Meals Impact CO₂ Emissions
