どうも。コンカズ (@konkazuk) と申します。
気候変動に関する記事やニュースを読んでいると、アルファベットが並んだ謎めいた略語が、まるで暗号のように目に飛び込んでくることがあります。
専門家の間では当たり前のように使われていても、僕らのような一般の読者にとっては「これは一体何ぞや?」と首をかしげたくなるものばかり。
今回取り上げる “CCS” も、その一つだと言えるでしょう。
というわけで、今回はその定義や背景について、じっくり見ていきます。
CCSとは?

“CCS” は Carbon Capture and Storage(二酸化炭素の回収と貯留)の略。
発電所や工場などから排出されるCO₂を、大気中に放出する前に回収し、地中に封じ込める技術を指します。
具体的には、化石燃料発電所やセメント工場から排出されるCO₂を、化学吸収液やフィルターを使って分離・回収。その後、回収したCO₂をパイプラインや船で輸送し、枯れた油田やガス田、あるいは深い塩水層などの地質構造に高圧で注入して閉じ込めます。
CCS が批判される理由

さて、その気候変動対策のうちの “CCS” ですが、そのアイデアはしばしば「批判の対象」となっています。
その理由としては…
🔹 化石燃料依存を延命する口実になりかねない
まず、この CCS を強く推しているのが、石油企業側だという事実。
彼らにとって一番困るのは、化石燃料の需要が急減することで、再生エネルギーの拡大や脱炭素規制が進んでしまうと、資産価値である油田・ガス田が「座礁資産」になりかねません。
CCSは「化石燃料を使い続けても排出は削減できる」という物語を提供し、これが政府や投資家への安心材料として使われていると言われています。
実際に、COPなどの国際会議では、石油企業やその業界団体は「多様な技術が必要とされる脱炭素の中でもCCSは不可欠」、「CCSがあれば石油・ガスを安全に使い続けられる」などと言ってロビー活動を行い、これによって政府が補助金や税制優遇を出すケースが増えています。

さらに、回収したCO₂を枯れかけた油田に注入すると、原油が押し出されて採掘量が増える (Enhanced Oil Recovery)と言われていて、こんなことをされたらCO₂削減のはずが、むしろ化石燃料の追加採掘につながってしまうことになります。
表向きは「気候変動対策に貢献」と言いますが、実際のところCCSは、政治家にとっても化石燃料産業にとっても利害がぴったり一致する存在。
脱炭素と経済成長、両方を同時にアピールできる、ある意味「便利な道具」になっているのです。
🔹 高コストなのに回収量はわずか
CCSは、導入や運用にかなりの費用がかかります。設備を作るだけで何百億円レベル、さらに運転や維持にも継続的なコストが必要と言われています。
その割に、回収できるCO₂は意外と少ないんです。
多くの商業規模プロジェクトでは、排出されるCO₂の半分以下しか回収できないとのこと。
さらに、その回収したCO₂を圧縮して運び、地中に埋めるにはエネルギーが必要で、その過程で発生する温室効果ガスが、せっかくの回収分を相殺してしまうこともあります。
つまり、たくさんお金とエネルギーをかけても、温暖化防止の効果は限定的!
しかも、ネットゼロ達成には桁違いの規模拡大が必要です。その一方で、CCSにこだわりすぎると、本来進めるべき再生可能エネルギーへの移行を遅らせてしまうのではないか、と懸念されています。
イギリスのCCSをめぐる議論

世界的には、CCSは「気候対策の主役ではなく、脇役」という見方が強いのに対し、イギリス政府はCCSを「ネットゼロ達成の切り札」として本気で進めていて、2030年までに巨額を投じて4つの大規模ハブを動かす計画を持っています。
北海の使われなくなった油田を使ってCO₂を地中に貯めるプロジェクトも、複数進行中です。
しかしながら、前の章でも述べたようにこのような動きは、環境団体や専門家に「CCSは結局、北海油田を延命させるだけじゃないか」と強いバッシングを受けています。
多くのCCS計画は天然ガスの採掘とセットで進められているので、化石燃料への依存が長引く可能性が高いと見られています。

CO₂を理論通りには集められていないし、設備の建設や運用にもとんでもないお金がかかるんだから、その資金を再生可能エネルギーに回して、残りは格差社会の解決に使ってほしいですね。
というわけで、今回は “CCS” に関しての内容でした。
それではまた。
コンカズ