climate change

パリ協定とは?COP21で決まった温暖化対策のキーポイントを解説



どうも。コンカズ (@konkazuk) と申します。

2020年以降の気候変動対策に関する長期的な枠組みである「パリ協定」は、2015年に開催されたCOP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)で採択され、翌年2016年に発効しました。


これによって、世界中の国々が協力して温室効果ガスの排出を削減し、地球温暖化の影響を抑えることに取り組むことになりました。



「京都議定書」の後継となるこの重要な協定の内容を、今回の記事でポイントを押さえながら復習していきます。

パリ協定の概要

image by Nuno Lopes

パリ協定 (Paris Agreement) の中でも特に重要な3つのキーポイントである、気温上昇の抑制目標、各国の削減目標(NDC)、そして先進国の支援策について、それぞれ順番に見ていきます。

1. 気温上昇目標

image by mika-baumeister

パリ協定と聞いてまず思い浮かぶのは、

世界全体で産業革命以来の気温上昇を2℃未満、できれば1.5℃以内に抑える


ことを目標にしたことだと思います。


1.5℃を超えると熱波・洪水・海面上昇などの気候変動の影響が加速し、2℃を超えると不可逆的な変化が起こり、人間の力では食い止められない事態になると警告されています。

2025年1月、産業革命前と比べた地球の平均気温が1.7℃上昇を記録。このままでは1.5℃どころか2℃を超えて、警告されていた未来が現実になってしまいます。💦


IPCCの報告によると、世界の気温上昇を1.5℃以内に抑えるためには、2050年までにカーボンニュートラル排出したCO₂を森林や技術で吸収し、差し引きゼロにすることを達成する必要があります。
そのため、各国は2030年までの温室効果ガス削減目標を設定しました。

2. 各国の削減目標(NDC)

image by Ryan Graybill

各国が自主的に定める温室効果ガスの削減目標 “NDC” (Nationally Determined Contribution) の提出が義務付けられ、それを5年ごとに更新することが定められました。


ランダムに選んだ2025年2月現在の各国のNDCの状況を見てみますと、

⚫アメリカ (2024年12月16日に国連に提出)
2035年までに2005年比でGHGを61~66%削減

⚫イギリス (2025年2月現在、最新のNDCを国連に提出済み)
2035年までに1990年比でGHGを78%削減

⚫EU (2025年2月現在、新たなNDCは未提出)
2030年までに1990年比でGHGを55%削減

⚫フランス (2025年2月現在、新たなNDCは未提出)
EU全体の目標に基づき、2030年までに1990年比でGHGを55%削減

⚫ドイツ (2025年2月現在、新たなNDCは未提出)
EU全体の目標に基づき、2030年までに1990年比でGHGを55%削減

⚫中国 (2025年2月現在、新たなNDCは未提出)
2030年までにCO2排出量をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルを目指す

⚫日本 (2025年2月現在、新たなNDCは未提出)
2030年までに2013年比でGHGを46%削減

⚫ブラジル (2025年2月現在、最新のNDCを国連に提出済み)
2030年までに2005年比でGHGを50%削減



悲報ですが、2025年1月20日にトランプ政権が発足し、パリ協定からの再離脱を宣言しました。正式な脱退には約1年を要するため、現在は脱退手続き中であり、今後パリ協定の枠外となる見通しです。


各国が次のNDCを発表する主要な機会は、11月にブラジルで開催されるCOP30とされています。

3. 先進国の支援策

image by xiSerge

先進国は気候変動対策として、2009年のCOP15で合意された年間1,000億ドル*(約15兆円)を途上国に提供することを再確認。


*この目標は2020年の時点で836億ドルにとどまり未達成でしたが、2年遅れの2022年にようやく達成されました。


その結果、緑の気候基金 (GCF) を通じた途上国の再生可能エネルギー導入や災害対策が進みつつあります。

また、クリーン技術の提供や専門家の育成を通じて、途上国が温室効果ガス削減や気候変動対策を自立的に進められるよう支援し、洪水や干ばつなどの適応策を支える適応基金 (Adaptation Fund)も設立されました。


🔹パリ協定が画期的と言われる理由

1997年の京都議定書では、温室効果ガスの排出削減義務が先進国のみに課され、途上国には義務がありませんでした。しかし、2015年のパリ協定では、すべての参加国が削減目標を設定し、具体的な行動を取ることが求められています。

さらに先ほども述べましたが、各国が自国の状況に応じた削減目標(NDC)を提出し、5年ごとに見直す仕組みが導入されたことも画期的な点です。これにより、国際社会全体で継続的に気候変動対策を強化していく枠組みが確立されました。

このように、パリ協定は気候変動対策における歴史的な達成と評価されています。



今回は「パリ協定」に関しての内容でした。




それではまた。

コンカズ

*この記事の英語ヴァージョンはこちらから
👉 Why the Paris Agreement (COP21) Was Groundbreaking: Key Points and Global Impact


タイトルとURLをコピーしました