climate change

COP30の”裏切り”! 約70ヵ国がNDC未提出、その先にある地球の危機



どうも。コンカズ (@konkazuk) と申します。


2025年も終盤に入り、世界各地で気候変動による災害がいよいよ隠しきれないほど深刻化してきました。


その一方で、気候変動をいまだに否定し、欲のままに突き進む超富裕層と結びついた政府が各国で力を振るうという、目を覆いたくなる状況も続いています。

こうした混乱の真っただ中で、COP30(国連気候変動会議)がブラジル北部の都市ベレンで開催されました。



5年おきにアップデイトが求められている、パリ協定で各国が合意したNDCs(Nationally Determined Contributions / 国が決定する温室効果ガス削減への貢献) の提出の年だったわけですが、何が起こったのでしょうか?


僕なりにキーポイントをまとめてみました。


気候会議の裏舞台

このCOP30は、始まる前からどこか胡散臭い空気が漂っていましたが、案の定、終わってみると期待していなかったとはいえ「ガックリ」する内容でした。

🔹モラトリアムの撤回

ブラジルは世界最大の大豆輸出国で、そのほとんどが牛や豚、ニワトリなど、私たちが食べる家畜のエサとして使われているのですが、この家畜用飼料の栽培地拡大こそが、アマゾン熱帯雨林にとって長年大きな脅威となっていました。

このような問題を受けて、2006年に関係企業が自発的に導入したのが「アマゾンの森を切り開いて作った畑で育てた大豆は買わない」という Soy Moratorium(大豆モラトリアム)であり、この取り決めが、アマゾン保護の「成功例」として世界的に高く評価されてきたのですが…

このCOP30が始まる約3ヶ月前に、ブラジルの独占禁止当局である経済防衛行政審議会 (Cade) が穀物取引企業に圧力をかけ、Soy Moratorium を撤回させる、というショッキングな出来事が起こりました。



これによって、ポルトガルに匹敵するほどの広大なエリアが、再び農業開発による破壊にさらされる可能性があると言われています。

🔹熱帯雨林を破壊して高速道路を建設

COP30が行われるに伴い、ブラジル政府は地元コミュニティや環境保護団体の反対を押し切って熱帯雨林を縦断し (上の写真)、開催地のベレンへ向けて8マイル(13km以上)の高速道路を建設しました。

この行為は、気候危機の解決を掲げるCOP30サミットの目的そのものと完全に矛盾しています。


🔹参加者の25人に1人が化石燃料のロビイスト

これには呆れ返りますね。


Kick Big Polluters Outの報告によると、COP30の機構交渉には、1,600人を超える化石燃料ロビイストが参加を許可されていたようで、開催国のブラジルを除くすべての国の代表団の人数を大きく上回っていたとのこと。



その規模はというと..

▪️今年20回以上の台風被害を受けたフィリピンからの代表団のなんと50倍!

▪️深刻な干ばつで政府が首都から避難を検討しているイラン代表団の44倍!

▪️ハリケーン被害で復興に数十億ドルが必要と言われているジャマイカ代表団の40倍!


にも相当します。


まさに、汚染企業者による利益要求の場と化しています!


NDCの提出・国際協調の難しさ

Image by Bernd Dittrich

イントロでも述べたように、今回のCOPでは、産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑えるというコミットメントに沿って、各国がアップデートされたNDC(国別決定貢献)を提出することになっていました。


… が、多くの国が提出期限を守らず、インドやサウジアラビアを含む70か国以上が期限内に提出できないという結果に終わりました。


提出されたNDCの多くも、正直ほとんど削減につながらないような内容ばかりだったらしく、科学者たちによると…

2026年に排出量の増加カーブを下向きに転じさせて、その後は毎年5%以上の削減を続けないと間に合わない


と言っています。

各国のNDCを合計すると、地球は2.5℃の上昇コースに向かっており、目標の1.5℃とは大きくかけ離れているそうです。


中国やインド、ロシアといった大国は、NDCを強化する議論そのものに反対しました。


結局、どの国も自国の経済成長に重点を置いているので、化石燃料の利益が地球全体の気候安全よりも優先されてしまうわけです。


政治と科学との間に生じているギャップが、このCOP30でさらに浮き彫りとなったといった感じでしょうか?


見過ごされた課題

image by Martin_Hetto

さて、肝心の「化石燃料からの移行」ですが、80以上の国が目標達成に向けたロードマップの協議開始を提案したものの、サウジアラビアやロシア、アラブ諸国の強い反発に押され、議論は最終的に「自主的取り組み」に格下げされてしまいました。

結果として、強制的な削減ルールの導入には至ることができませんでした。



社会の公平さという意味では、少し前進があり、化石燃料からクリーンなエネルギーに移る際に仕事に影響が出る人たちをどう支えるか?という問題に関しての「公正な移行(Just Transition)」は明記されました。


その一方で、重要鉱物の採掘に伴う深刻な人権問題については、中国やロシアの反対によって削除されてしまい、クリーンエネルギー移行の裏で起こる「見えない問題」には向き合えませんでした。




というわけで、金と欲にまみれた権力者たちが、

地球のことも次の世代のことも知ったこっちゃない。俺たちが楽しみまくって、年老いて死ぬまでの間だけ地球が持ちこたえてくれたらそれでいいのさ。


という声が聞こえてきそうなCOP30でした。



みんなこれでオッケーなん?



コンカズ

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