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イギリス地方選挙でグリーン党が歴史的大勝利──ロンドン・ハックニーで起きた政治変化とは



どうも。コンカズ (@konkazuk) と申します。


いやぁ、とうとうやりました!

かなり嬉しいです。

5月7日にイングランドで地方選挙が行われたのですが、僕の住むロンドンのハックニー区では、グリーンパーティーの候補者たちが議席の多数を獲得し、さらに区長の座も労働党から奪取するという、『歴史的な勝利』を収めました。

これはとてつもなく大きな出来事です!

というわけで今回は、ハックニーの地方選挙についてレポートしていきたいと思います。


投票日レポート

image by mounsey
戸別訪問

1年以上前から毎週続けてきた戸別訪問やチラシ配布。その集大成が、今回の投票日当日の活動でした。

地域の住民がどれだけグリーンパーティーを支持していても、選挙当日に実際に投票所へ足を運び、票を入れてくれなければ意味がありません。



そのため当日の戸別訪問は、これまでの活動を通して把握してきたグリーンパーティー支持者、あるいはグリーン寄りと思われる有権者の家を回り、

今日がその大事な選挙当日ですよ。あなたの一票が本当に重要なんです。ぜひ投票に行ってくださいね

と直接リマインドするためのものでした。



ロンドン、特にハックニーでは、何十年もの間、労働党が圧倒的多数の議席を占めてきました。そのため彼らには、「議席を確保するのは当然」という空気がどこか漂っていたように思われます。

実際、僕が労働党が戸別訪問をする活動を見かけるようになったのは、投票日の2週間ほど前からだったので、そこにもある種の complacency(慢心)が見えていた気がします。


一方、グリーン側は、地元住民の支持の広がりを実感しながらも、過去の議席数を考えれば、長年マイノリティ側だったことに変わりはありません。


だからこそ、「やれることは全てやった」と思っていても、どこか不安が残る… それが多くのメンバーの正直な心境だったと思います。


verification

朝から晩までの戸別訪問を終えた後、僕は自分の住む Wardのオーガナイザーから「verification」に参加してほしいと頼まれていたので、IDを持って区役所へ向かいました。

イギリスの地方選挙後に行われる verification は、日本ではあまり見られないプロセスです。


簡単に言うと…

各党の候補者や代理人たちが立ち会う中で、投票箱が開封され、大量の投票用紙が仕分けされていく。その様子を各党の関係者が確認し、票数を記録していく作業です。




厳密な監査人というほどではありませんが、選挙の透明性を担保するための観察者、という役割に近いと思います。


スタッフの人数に比べ、参加者はそれほど多くありません。しかも作業は驚くほどのスピードで進むので、正確な票数を把握するのはどうあがいても無理です。それでも、それぞれの区でどの党がどの程度票を得ているのか、大まかな空気は感じ取ることができました。


会場に入ると、僕以外はほとんどが立候補者本人か、長年グリーンパーティーで活動してきた人たちだったので、初心者の僕は正直なところ、「かなりそわそわしていた」いったところでしょうか。

verification が終わったのは朝3時前。

さすがに頭が回っていなかったのか、翌日は金曜日で子どもたちのお弁当が不要だったにもかかわらず、普通に弁当を作ってしまいました。


歴史的な勝利


まず、ハックニーでは、1971年以来、55年以上にわたって労働党が政権を維持してきました。選挙前までのハックニー区議会の議席構成は、全57議席のうち…

政党議席数
Labour (労働党)43
Conservative (保守党)
Green Party (緑の党)
Hackney Independent Socialist Collective
(独立社会主義グループ)
Independent (無所属)



そして、区長ももちろん労働党。



そんな状況だったのですが、投票日翌日の昼ごろ、まず飛び込んできたニュースが…

Zoë Garbett 区長当選!!!




この時点で、もう新しい歴史の始まりを感じました。

逆に、今世界で起きていることを考えると、このタイミングで彼女のような人物が選ばれなかったら、もう希望は残されていなかったのではないかとも思いますね。



そして午後になると、少しずつ区議会議員の当選結果が入ってきます。

もともとは、「15議席ぐらい取れれば大成功」という雰囲気だったらしいのですが、選挙前の予測では、うまくいけば30議席前後、過半数に届くかもしれないという話も出ていました。

しかし、ふたを開けてみれば

なんと42議席!

ハックニーは、一気にグリーンになっていました。(下がその結果。)

政党議席数
Green Party (緑の党)42
Labour (労働党)9
Conservative (保守党)6



ちなみに、僕の住む Hackney Downs ward は3議席あるのですが、アラステアさん、ローラ・ルイーズさん、ディランさんの3人がそろって当選。

From left: Dylan Law, Laura-Louise Fairly, and Alastair Binnie-Lubock

特に、20歳になったばかりのディランさんは、Zoë Garbett が区長に当選した場合、副区長に指名される予定だったので、これ以上ない結果だったと言えます。


唯一残念だったのは、Homerton ward で、Green Party と協力関係にある Hackney Independent Socialist Collective の議席が Labour に奪われてしまったことです。

ただ、政党は違っていても、目指している方向は非常に近いので、これからも連携しながら活動していくことが期待されています。


グリーンの区長誕生の意味

Green Party Mayor Zoë Garbett

Hackneyでグリーンパーティーのメンバーが区長になるという事は、これまで「提案する側」から「決定する側」へ移行することを意味します。

何を優先課題にするのか、どこに予算を配分するのか、Council がどの政策に力を入れるのかといった方向性を主導できる立場になります。



これまでグリーンパーティーは、

もっと気候政策を進めるべきだ!
住民が負担できる家賃の住宅を増やすべきだ!
公共サービスに投資すべきだ!
年金基金によるイスラエル向け武器企業への投資をストップしろよ!

と言った感じで、外側から要求する立場でした。


ところが区長になれば、実際に役所を動かして政策を実行する責任を担うことになります。

例えば、

▪️サイクリストにとって安全な環境整備
▪️大気汚染対策
▪️カウンシルハウジング
▪️グリーンスペースの確保
▪️公共交通政策
▪️地域市民や地域団体が主体となる再生可能エネルギー事業


など、より優先的に人員や予算を投入することが可能になります。


さらにキャビネットを組んで、幹部メンバーを任命したり、行政方針を設定したりなど、Council 全体の空気や優先順位そのものを変える力を持つことになります。


Zoë Garbettさんは、もともとロンドン・アセンブリーのメンバーとして一定のメディア露出がありましたが、今回の結果を受けて今後さらに注目を集める可能性があります。また、区政での影響力が強まれば、他自治体や全国政治にも影響を与える存在になることが期待されます。



ただ、これらを実現するには多くの壁があります。自治体財政の制約、中央政府との関係、労働党議員との協力、官僚組織との調整など、現実の行政運営にはさまざまな制限が伴います。


それでも、これだけ多くのグリーンパーテイーの議員が当選したことを考えると、活力と強い信念、そして高い能力を持つ彼女なら、やってくれそうな気がしてなりません。


今回の選挙で感じたこと

Green Party Deputy Mayor Dylan Law

今回の地方選挙では、ハックニーと隣接するLondon Borough of Waltham Forestで、これまで議席ゼロだったグリーンパーティーから31人が当選しました。

また、南ロンドンのLondon Borough of Lewishamではグリーンパーティーの区長が誕生し、ウェールズでもグリーンパーティーが初議席を獲得するなど、各地でグリーン勢力の躍進が見られました。

これは、既存政治への不満を抱えながらも、これまでは労働党か保守党のどちらかに投票する傾向が強かった有権者たちが、その従来の枠組みから徐々に抜け出し始めていることを示していると言って良いでしょう。

逆に言えば、それだけ人々が危機感を抱いていることの表れとも言えます。

気候変動という観点から見ると、ハックニーの将来において重要な鍵を握る人物の一人は、20歳という若さで副区長に就いたディランさんではないかと思います。彼は非常に芯が強く、落ち着いた印象を持つ人物です。

気候変動の不安を最も直接的に感じているのは、やはり現代の若い世代です。ディランさんの担当は主に住宅政策や教育システムの改善になると思われますが、今後の彼の活動は、同世代の若者たちに大きな刺激を与えるはずです。

それによって、より多くの若い世代が政治の場に参加し、極右勢力の拡大を押し返しながら、ロンドンを拠点とした、よりスピーディーで国際的な気候対策運動へとつながっていくことを期待しています。


というわけで、当選された皆さん、このたびは本当におめでとうございました。

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