どうも。コンカズ (@konkazuk) と申します。
前回の記事では、食事のタイプによって生じるカーボンフットプリントについて取り上げましたが、食事の次に多くのCO₂を排出しているのが、今回のテーマである「移動」。
この「移動」の分野においても、カーボンフットプリントの大まかな知識を身につけておくことで、私たち自身はもちろん、次の世代が安全に暮らせる社会づくりに貢献できることがたくさんあります。
… が、ちょっとその内容に入る前に、食べ物と移動手段では、カーボンフットプリントの捉え方が少し異なってくるので、ここで考え方の前提を整理しておきます。
食べ物は消費するたびになくなるため、その度に新たな生産が必要になりますが、乗り物は一度作られたものを繰り返し使うため、日常的な利用においては製造段階の排出は通常カウントされません。
この前提を頭に入れたうえで、読み進めていただければと思います。
*前回の食事の記事と同様に、ここでは分かりやすさを優先し、温室効果ガス全体の排出量を「CO₂」と表記しています。実際には、メタンなども含めた「CO₂換算(CO₂e)」の値となります。
移動手段ごとの1kmあたりのCO₂排出量

移動によるCO₂の排出は、その手段によってかなりの差が出てきます。
まずは、1人が1km移動した場合のカーボンフットプリントの排出量は、以下のようになります。
徒歩や自転車 : 0gに近い
電車 : 約20〜30g
バス : 約80g
自家用車 (ガソリン車) : 約150〜200g
ここで、なぜ自家用車の方が、バスよりも排出量が高くなるのか?という疑問を持つ方もいらっしゃると思いますが、その理由は人数効率が圧倒的に悪いからなんです。
電車やバスの場合は、多くの人を同時に運ぶため、排出量を「人数」で割ることができますが、自家用車の場合、大抵1人か2人となってくるため、排出量を分担できないというのが原因となります。
そして、飛行機を利用すると、カーボンフットプリントの差は一気に広がります。
特に短距離路線 (ロンドンーパリ、東京ー大阪などのフライト時間が短い路線)では、1kmあたり250g以上になることも珍しくないようです。
*飛行機は、離陸と上昇時に最も燃料を使うため、短距離だと燃費の悪い区間の割合が大きくなり、1kmあたりの排出量が高くなります。
以上のことから、移動距離が同じでも、どの手段を選ぶかだけで排出量が何倍にも変わってくることが理解できます。

食事の例をとってみると、「牛肉中心」の食事と「豆や野菜中心」の食事の違いと同じくらいの差が、移動手段の選び方だけで生まれていると考えると、分かりやすいかもしれません。
日常の移動から出るCO₂の蓄積

移動によるカーボンフットプリントというと、旅行などの飛行機移動が注目されがちです。
しかし、日々の通勤や通学といった移動も、年間で見ると決して小さなものではありません。
例えば、片道10kmの通勤を考えてみます。
往復20kmを自家用車 (1人乗り) で移動した場合、1日あたりのCO₂の排出量は約3〜4kgとなります。一方で、同じ距離を電車で移動すると、排出量は約0.5kg程度に抑えられます。
1日単位で見ると、「ほんの数キロの違い」にしか感じられないかもしれませんが、この差は積み重なってくるとデカいです。
これを週5ペースで1年間続けると、自家用車では約800kg、電車では約100kgほどの排出量となり、その差はなんと約700kgにまで広がってくるわけです。
これは、短距離の飛行機移動を何度も行った場合に匹敵する排出量です!
*ロンドンーパリ : 約340km、東京ー大阪 : 約400〜500kmなので、平均400kmとすると…
250g x 400km = 100,000g (=100kgのCO₂)
となり、7回分のフライトと計算することができます。
というわけで、特別な旅行だけじゃなくて、日々の移動手段の選択が、私たちのカーボンフットプリントに大きく影響していることが理解できると思います。
飛行機移動で一気に増えるCO₂

もう一つ知っておきたいのが、飛行機移動の影響。
移動手段の中でも、飛行機は一回の利用で排出されるCO₂が突出して多いのが特徴です。
例えば…
東京とソウルを往復すると、排出されるCO₂は約300〜400kg。
東京からロンドンまでの長距離フライトでは、約1.5〜2トン。
となり、特に長距離フライトでは、たった一度の移動が、日常生活で何か月分、場合によっては1年分に相当する排出量になることもあります。
食事を1年間見直して減らした排出量が、一度のフライトで簡単に追いつかれてしまうって事にも、なってしまうわけです。
最後に

食事も移動も、完璧を目指す必要はありません。できる範囲での小さな選択でも、CO₂排出は確実に減らすことができます。
ただし、もう一つ忘れてはいけない現実があります。
それは、排出量の大部分を占める層の行動が変わらなければ、全体の削減は追いつかないということです。
気候変動への影響は、すべての人が等しく与えているわけではありません。
世界の富裕層上位10%が、世界全体の排出量の半分以上を生み出しているという事実があります。
だからこそ、私たち一人ひとりの努力に加えて、高排出な移動にきちんと歯止めをかける制度やルールを求めていくことが欠かせません。
徒歩や自転車、公共交通を選ぶこと。
そして同時に、声を上げ、政治に圧力をかけていくこと。
その両方があってはじめて、気温上昇を食い止める現実的な道が見えてくるのだと思います。
それではまた。
コンカズ
