climate change

「高い期待と深い失望の交差点」COP15



どうも。コンカズ (@konkazuk) と申します。


2009年にデンマーク・コペンハーゲンで開催されたCOP15(国連気候変動枠組条約締約国会議)、通称「コペンハーゲンサミット」。ここではその会議の内容について、簡単に振り返っていきたいと思います。



あまりポジティブな評価を受けることが少ないこの会議では、一体何が起こっていたのでしょうか?



🔷 COP15 (コペンハーゲンサミット) の目的

COP15の目的は、1997年に採択され、2005年に発効した「京都議定書」の第一約束期間(2008年~2012年)の終了が迫る中、それに続く新たな国際的な気候変動対策の合意を目指すことでした。


その主な議題は、

▪️先進国と途上国の双方に温室効果ガスの排出削減目標を設定すること

▪️京都議定書を離脱したアメリカや、中国・インド・ブラジルなどの新興国も含めた合意形成を試みたこと。

▪️途上国が気候変動対策を実施するための資金援助をどのように提供するか


というものでした。

🔷 なぜ失敗と評価されているのか

コペンハーゲンサミットが失敗と評価される最大の理由は、先進国・新興国・途上国の間で責任分担をめぐる対立が解決できず、法的拘束力のある枠組みを作れなかったことにあります。

合意に消極的または反対した国々の主な理由としては、

⚫発展途上国(ボリビア・スーダン・ベネズエラなど)

気候変動を引き起こした主な原因は、産業革命以降の先進国の温室効果ガス排出であるのに、「コペンハーゲン合意」では先進国が途上国をどの程度支援するのかが明確でなかった。そのため、途上国側は先進国が歴史的な責任を果たしていないと批判。さらに交渉の最終段階では、主要国が中心となって合意を形成したため、小規模な途上国は発言権を持たないまま決定が下された。

⚫新興国 (中国・インド)

中国・インドは総排出量は大きいものの、国民一人あたりの排出量 は先進国よりはるかに低いため、「一人当たりの排出量」を基準にすべきだと主張。また、両国は急速な経済成長の途上にあり、国際的な合意によって強制的なCO₂排出削減義務が課されると経済成長に支障が出るため、法的拘束力のない枠組みを支持した。

⚫アメリカ

アメリカは、世界最大の排出国である中国が先進国と同じ削減義務を負わないのは不公平だと主張。(これに対して中国は「歴史的な責任を考えれば、先進国がより大きな削減義務を負うべき」と反論。)アメリカは、基本的に自分の国のことしか考えていない。



というわけで、最終的に合意された「コペンハーゲン合意」は、温室効果ガスの排出削減が各国の自主性に任され、実効性に疑問が残る形で終わってしまいました。




さらに先進国による途上国への資金援助に関しては、

短期の資金支援
(2010年~2012年の3年間で合計300億ドルを提供することを約束)

長期資金支援
(2020年までに、毎年1,000億ドルを途上国に提供することを約束)


といった目標が打ち出されましたが、資金の調達方法が明確でなかったり、政府資金と民間資金の比率が曖昧なことから、議論はのちのCOP会議に持ち越されることなってしまいました。



以上のような背景から、COP15は「失われた機会」と広く見なされるようになったわけです。


しかし一方で、この結果は、気候変動対策における国際的な協力の重要性を改めて認識する契機にもなったと言えます。





それではまた。


コンカズ

*この記事の英語ヴァージョンはこちらから
👉 COP15: Analysing the Copenhagen Summit’s Failure

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