どうも、コンカズ (@konkazuk) です 。
今回の記事では、アルファベットの”N” の発音を見ていきます。
自分のカタカナ英語を改善して、自分の理想の英語の発音に近づけたいのであれば、日本語と英語では、1文字1文字アルファベットの発音の仕方に違いがあることを、まず認識しなければなりません。
あなたが今、個々の英語のアルファベットの発音に目を向けず、ただ漠然とネイティブスピーカーの発音を真似しようと努めているのであれば、結果的に恐ろしい量のボキャブラリーを完コピするという、途方もない作業を強いられることになります。
それぞれのアルファベットが発音される際のクセ、またはちょっとしたルールみたいなものをはじめに把握しておけば、それらをすべてのボキャブラリーに適応させることができるので、ただ闇雲にネイティブの発音をコピーするよりも、上達のスピードを確実にアップさせることができます。
というわけで、見ていきます。
「ン」の音は、どっから現れる?
はい。
まずはじめに、母音ではじまる数えられる名詞、またはそれを修飾する母音ではじまる形容詞の前に置かれる”冠詞” は、”a” ではなく、”an” が付けられるっていうルールを、みなさん恐らく義務教育で習っていると思うのですが、覚えていらっしゃるでしょうか?
(そうでない方は、とりあえずこちらを読んでみてください。)
👉 いまいましい冠詞をやっつけろ!!!《英語汁 第16号》
たとえば、次の “an” がつく例
- an apple
- an American lady
- an empty house
をカタカナで表記してみると
アン アポゥ
アン アメリカン レイディ
アン エンプティー ハウス
と、なるわけですが、これらが “an” の “n” と、その後にくる母音がつながって…
例 ①
- anapple ➡︎ アンナポゥ
- anamerican lady ➡︎ アンナメリカン レイディ
- anempty house ➡︎ アンネンプティーハウス
のように発音されると教えられたことがある方も、中にはいらっしゃるのではないでしょうか?
でもこれ、よく見てみるとおかしいですよね。
英語のスペリングの表記の通りに発音するのであれば…
例 ②
- anapple ➡︎ アナポゥ
- anamerican lady ➡︎ アナメリカン レイディ
- anempty house ➡︎ アネンプティーハウス
と発音されるべきではないでしょうか?
しかしながら、実際の英語の発音を聞いてみると、
例 ① のように、確かに “a” の後に、「ン」の音を聞き取ることができます。
これは一体どういうことなんでしょうか?
結論から言いますと、実はこれ…
冠詞の “an” 「アン」に限ったことではなく、日本人は、アルファベットの ”n” で終わる単語をカタカナの「ン」で表記する(ex. ステーション、ファッション、ピジョン、など) が、当然のようにインプットされてしまっているために、このような錯覚が生じてしまうのです。
とは言われても、これだけではちょっとつかめないですよね。
う〜む。”何を言っているのかイマイチよく分からん”ってな人も、とりあえずは次に進んでみてください。
”ン” の後に ”ヌ” ???
僕は、時々自分の子供たちに、日本語の書き取りのタスクを与えているのですが、まずは、次の画像をちょっと見てください。
ウチの娘が、カタカナで書いた言葉なんですが、みなさん何が書いてあるのか分かりますか? w
左から(モバイルで見てるんだったら上から?)順に、プレイン、ドルフィン、サン(plain, dolphin, sun) となるはずなのですが、(この際 ”サ” が、”スア” になってしまっているのは置いときまして…) ご覧のとおり…
何がどうなったのか、カタカナの「ン」がくる代わりに、「ヌ」が出現しています。
他にも見てみますと…
これらも普通だったら、レインボー、フィンガー、パイナップル (rainbow, finger, pineapple) となるはずなのですが、ここでも「ン」の代わりに、「ヌ」が出てきてしまいます。
興味深いことに、この事実はライティングの時だけに限ったことではなく、子供たちが日本語で話すときにも同じことが起こっています。
例えば…
「ほらっ、窓の外にムーヌが見えるよ!」
「ここのライヌがちょっと曲がってる!」
「シルベスター・スターローヌ、顔から血ィ出てるよ!」
と言った感じで、
ふつうに「ヌ」が「ン」に代わって使われています。
さて…
注意ながら英会話を聞いていたり、英語で歌われている曲を聴いている際に時折、”n” または、”ne” で終わるボキャブラリーの後に「ヌ」の音が続くのを聞き取れる時があると思います。
わかりやすい例をあげるとすれば、イギリスのパンクロックバンド、「セックス・ピストルズ 」の ”ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン”って曲の 01:17 辺り。
(ヴォリューム大きめで聞いてみてください。)
「ゴーッドッ セイヴ ザ クゥイーンヌッ」
って感じで「ヌ」の音が聴き取れます。
他にも、「ビートルズ」の「レット・イット・ビー」のアルバムに入っている “One After 909” の初っ端、00:10 あたり。
ワン アフター 909 が、「ワンヌアフターナインヌオナイン」って聞こえますよね。
そして曲も終わりに近い 02:34 辺りからは、あからさまです。
最後の”9-0-9 〜「ナインヌォゥナアァァァィ〜」♪♫” でフィニッシュするラインを言う前に、
“She said she’s traveling on the one after 9-0”
ってラインを2回繰り返しますが、この “9-0” 「ナイン – オウ」が、確実に
「ナインヌォゥ」
って聞こえます。
実はこれ 英語で「ン」”n” を発音する時に、舌先の位置が上の前歯(内側)の歯茎の部分にタッチしているのですが、「ン」の音がまだ響いている間に歯茎から舌先を離すことによって「ン」の音をカットする際に「ヌ」の音が形作られて、「ンヌ」と聞こえるのです。
例えば “situation” や “generation” などの単語が発音される際に、たとえ「ヌ」の音は発音されなくても(聞こえなくても)、実際のところは スィチュエイション(ヌ)や、ジェネレェイション(ヌ) といった感じで、「ン」の後ろに「ヌ」が隠されているのです。
一方で、カタカナ英語の場合だと最後の”ション”の部分を発音する際に、口が少し丸くとがった形で開いたまま、舌先が下側の歯茎のかなり下部をタッチしているのがわかると思います。
この場合は、「ショ」を言っている段階で口が「オ」を発音する時と同じように丸く開いて、上の歯と下の歯の間が離れます。
そして「ン」の音は、続いて口がまだ丸く開いている間に「のどの奥」が閉じられることによってつくられるので、英語の発音のように「ン〜」と伸びている音をカットする必要がありません。
したがって、「ヌ」の音が生じないのです。
これらを踏まえて、冠詞の “an” の ”n” を英語の発音で、舌先の位置を上の前歯(内側)の歯茎の部分にタッチさせて「ン〜」とやった後、押し付けている舌先を「ヌ」っと離した後、母音からはじまる単語を続けると…
an apple➡︎ アンヌアポゥ
an hour➡︎ アンヌアウァー
an accident➡︎ アンヌアクスィデント
2つの単語の間に確実に「ヌ」の音を聞き取ることができます。
ここで、これらの「アン」の後に続く「ヌア」を少し早く言ってみると「ナ」に聞こえませんか?
an apple➡︎ アンナアポゥ
an hour➡︎ アンナウァー
an accident➡︎ アンナクスィデント
あれっ… この感じ。どっかで見ましたよね。
一つ前の章でやった、例 ① と同じ形になっています。
つまり ”na” がそのまま「ナ」になっているのではなく “n”「ンヌ」+ “a”「ア」の 「ヌ」と 「ア」の部分がくっついて「ナ」となり、「ンナ」となるわけです。
ちなみに先ほど子供が書いたカタカナのうちで最後に取り上げた ”パイナップル”。
これも通常の例にならったら ”パインアップル” と綴られるべきなのですが、”パイン”と”アップル”をつなげた際に、パインヌアップルとなるため、それが自然に”ナ”の音に聞こえるために ”パイ(ン)ナップル” の綴にたどり着いたんだと思われます。
ということで皆さん、これからは、”n” を発音をするときには、その後にカタカナの「ヌ」が続いていることを意識して発音するように心がけてみてください。
“n” から始まる単語の発音
それでは、“n” から始まる単語の発音ですが… ちょっとややこしくなるかもしれませんが、イメージを分解しながらいきます。
(頑張ってついてきてください。)
まずはじめに押さえておきたいのは、”n” を発音する時は、上の歯と下の歯が閉じていて、舌の先が前歯の裏の、歯と歯茎の境目あたりに置かれていることです。”n” を発音する前に、この形が口の中で準備されます。
「ン」と発音する場合は、この状態から、先ほど説明したように、喉の奥から「ン〜」と発音して、この伸ばしている「〜」の部分を切り離すときに、上の前歯の裏に位置付けている舌先を離すときに「ヌ」の音が生じるため、「ンヌッ」となります。
ではここで、「ン」以外の “n” から始まるボキャブラリーを5つ…
nice, Nick, noodle, neck, novice
これらのボキャブラリーから “n” を取り除いて、カタカナ文字で表記してみますと…
アイス、イク、ウードル、エク、オヴィス、
となって、母音の「アイウエオ」の順で始まっているのがわかるかと思います。
これに今度は、再び “n” を元に戻して、その “n” 「ン」を先ほど説明したように「ンヌッ」となるように発音すると、
ンヌアイス、ンヌイク、ンヌウードル、ンヌエク、ンヌオヴィス、
となります。
んでもって、これらは ”n” で終わる単語に、母音の単語がきている前回の例とは違って、一つの単語内で起こっていることなので、これをもっと縮めて…
ンナイス、ンニク、ンヌードル、ンネク、ンノヴィス
となります。
結論から言えば、この頭の「ン」を発音する準備万端で、「おっといけねぇ」ってな感じで、実際には発音せずに、次の「ナニヌネノ」から始める、っていうのが、”n” からはじまるボキャブラリーの発音の仕方です。
これらは普通にしゃべっている時などは、この感覚を持っていない人には多少わかりづらいかもしれませんが、この “n” からはじまるボキャブラリーが、感情を込めて発音される場合。たとえば…
「それが必要なんだよ!」
アイ ニィーディッットゥ!
I neeeedit! ってな感じで、「ニ」の前に喉の奥に「ン」を感じることができます。
口論なんかで「しらねぇよっ!」ってなる時は、
アイ ドオゥゥントゥ ンヌゥオゥ!
I dount nou! という感じで、「ンヌ」のところで、もう「ン」の音が、喉の奥を響いている状態です。
(* ”know” や ”knock” などの “k” からはじまっても、”n” から発音されるボキャブラリーは、皆おなじ扱いです。)
これらの例からもわかるように、「ン」 の音は、普段発音されるところまではいかなくても、確実に “n” からはじまる単語の前で「眠っています」。
まとめ
- “station” や “fine” など、”n” または、”ne” で終わるボキャブラリーの後には「ン」の後ろに「ヌ」が隠されている。
- “n” からはじまるボキャブラリーは、「ン」を発音する準備万端で、「おっといけねぇ」ってな感じで、実際には発音せずに、次の「ナニヌネノ」から始める、って感覚で発音する。
それでは、今回はここまでとなります。発音の感覚を覚えるのは難しいことですが、ここでの説明が、皆さんの参考になっていれば、嬉しいです。
最後までお疲れさまでした。
コンカズ
*この記事の英語ヴァージョンは 👉 こちらから