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Evangelical(福音派)とは?トランプ支持とキリスト教の終末論が政治に与える影響



どうも、コンカズ (@konkazuk) と申します。



ここのところ、アメリカの政治や社会についての記事に目を通していると、 “Evangelical(福音派)” という言葉によく遭遇します。


この言葉については、「キリスト教に関連している」という程度の知識しかなかったのですが、記事を読むうちに、なぜこの言葉がトランプ、アメリカの保守政治、イーロン・マスクやピーター・ティールなどの大富豪、さらにはガザをめぐる政治的な議論にまで登場するのだろう、という疑問を持ち始めました。



そんな中、Naomi KleinさんとAstra Taylorさんによる “END TIMES FASCISM” (まだ読んでいないのですが…)が発売され、ちょっとこのあたりの背景について知識を深めておかなくてはいけないなと思い、今回はそんな疑問から記事を書いてみました。


Evangelical とは何ぞや?

image by Terren Hurst

‘Evangelical’ を、日本語で調べてみると「福音派」と出てくる。



キリスト教の中のひとつの宗教的な伝統で、「福音」とは「神からの良い知らせ」という意味であり、イエス・キリストによる救いを指す言葉として使われる。


それを重視することは、聖書を信仰と生活の重要な権威とし、人間は自分たちの努力や良い行いだけで救われるのではなく、神の恵みとイエス・キリストによる救いによって救われる、という信仰を大切にすることのようです。



キリスト教の主な伝統には、カトリック、プロテスタント、正教会(東方正教会)などがあり、「福音を重視する」という考え方は、この全ての宗派に存在するわけですが…


Evangelical「福音派」という名称は、

一般的にはプロテスタントを中心とする信仰運動・潮流を指す言葉


として使われてるのだそうです。



この「福音派」は、アメリカだけに存在しているわけではなく、福音派の人々がみんな同じような政治的意見を持っているわけでもないのですが、アメリカのニュースでは、この「福音派」という言葉が頻繁に出てきます。



なんで、そうなのか? 


この大きな理由の一つとして、

白人の福音派プロテスタントの有権者のうちの85%が、共和党や保守政治と強く結びついている事にあります。(Pew Research, April 2024)




しかし、ここで大事だと思うのは、「福音派」という宗教的なグループと、特定の政治運動は分けて考える必要があるという事です。


キリスト教を信じているからと言って、必ずしもトランプを支持しているわけではないし、福音派だからといってみんながキリスト教ナショナリズム(アメリカは本来キリスト教国家であり、政治や法律もキリスト教的な価値観でやってくべきだという考え)を支持しているわけでもありません。



問題は、宗教そのものというよりも、宗教的な信念が政治と結びついた時に、どんな考え方や行動につながっていき、社会に影響を与えてしまうのかってところにあるんだと思います。


なぜ福音派の多くはトランプを支持するのか?

image by Alejandro Cartagena

白人福音派の存在は、トランプの政治的な支持基盤を理解する上で無視することはできない。



なぜなら、その背景には、中絶や同性婚、学校教育、そして宗教の公共空間での位置付けなどをめぐる長年の価値観の対立があるからだ。



キリスト教の伝統的な価値観を大切にする人たちにとっては、政治は単に政策を選ぶだけのものではなく、自分たちが大切にしている道徳や家族のあり方、社会の価値観を守る事にも深く関わってくる。



一方、トランプにとっても、強い信念と組織力を持つ福音派は、選挙を勝ち抜く上で重要な支持基盤となる。

宗教的な価値観を政治に反映させたい人々と、選挙で支持を必要とする政治家との間に、ここでお互いの利益が生まれる。



さらに、それぞれの目的は必ずしも同じでないとしても、保守系メディアや政治資金の提供者、そしてイーロン・マスクのように莫大な資産と技術力を持ち、政治活動にも多額の資金を投じる実業家なども、この結びつきを支える要因となっている。



福音派のトランプ支持は、宗教的な信念だけでなく、政治的な利害とも深く結びついているのだ。


ガザの破壊とキリスト教の終末論

image by Mahmoud Sulaiman

僕が特に気になるのが、イスラエルをめぐる政治との関係。



キリスト教には、「終末論/eschatology」と呼ばれる以下の考え方がある。

世界の終わり
今の世界や社会の秩序が終わり、神による新しい時代が始まるという考え方

最後の審判
世界の終わりに、神が人間の行いを裁き、善悪を明らかにするという考え方

キリストの再臨
イエス・キリストが再びこの世界に現れ、神の計画を完成させるという信仰



そして福音派の中には、イスラエルの成立や存続、中東で起こる出来事を、聖書の予言と結びつけて理解する人々もいる。



また、キリスト教シオニズム(Christian Zionism)と呼ばれる思想もあります。

これは、聖書の中で神がユダヤ人の祖先に約束した土地は、今もユダヤ人にとって特別な意味を持つと考え、それゆえに現在のイスラエル国家を支持するという、キリスト教徒の思想。



そして一部の人たちは、聖書に書かれた「ユダヤ人が約束の地に戻る」という話を、現代のイスラエル建国やユダヤ人の帰還と結びつけて考えていて、将来キリストが再臨するための神の計画の一部だと解釈しているとの事。



これには、ちょっと寒気がします。



戦争とは、人が殺され、街が破壊され、多くの人たちが苦しむという現実のはずです。


それなのに、パレスチナで起こっている戦争(というか虐殺)を、終末論を信じる人たちが聖書の予言の一部として受け取り、単に神の計画が実現していく過程だと考えているのだとしたら、すごく気持ちが悪いです。


一部の人たちが信じる「神の計画」が、現実に生きている人たちの命を巻き込んだガザの破壊や、政治家や企業が進めようとしている再開発にまで影響を与えているのだとしたら、あまりにもダークすぎて、将来が見えない気分になります。


「神の計画」が政治を動かす?

image by Tim Mossholder

さて、ここまで見てきたように、エヴァンジェリカルの一部が注目している「終末論」は、単純に「世界の終わりがいつ来るのか?」という宗教的な関心だけにとどまりません。


それが政治と結びついた場合、今の社会をどう変えるべきか?、どんな国家であるべきか?といった、現実の政治にも影響を及ぼします。


実際、トランプは、2025年の2月に、ホワイトハウス内に “White House Faith Office” たるものを大統領令によって設置し、福音派の牧師を上級顧問に任命しています。


これは、福音派の宗教指導者が単に大統領を支持しているというだけではなくて、政権内部の役職についているということになります。

こうやって、政治が「キリスト教ナショナリズム」がと結びついてしまうと、キリスト教的な価値観をアメリカ国家のあるべき姿と重ね合わせて、政治や社会をその方向に持っていく動きが生まれます。




自分たちの価値観だけが正しいと考え、それを社会全体に押し付けようとすれば、、他の宗教を信じている人、無宗教の人、異なる生き方を選ぶ人たちの権利や自由が脅かされることになります。



さらに、アメリカは、キリスト教ナショナリズムが政治的な力を持つようになって初めて、他者の権利や尊厳を軽視するようになったわけではありません。


アメリカという国は、自由や民主主義を掲げておきながら、先住民から土地を奪ったり、奴隷制を採用したり、フィリピンの植民地支配、ベトナム戦争、中南米や中東への介入など、自国の利益や理想を優先する一方で、他国の人々の生活や自由を犠牲にしてきた歴史があります。


つまり、自分たちの信じる正義を実現するためには、他者の犠牲を当然としてしまうアティチュードは、今になって始まったわけではありません。



というわけで、キリスト教ナショナリズムについて考える場合も、こうしたアメリカの歴史的背景を切り離すことはできないと思います。



「世界の終わり」を信じる人たちがいる一方で、それを現実のものにしかねない、途方もない巨大な資産やテクノロジーを持つ人たちがいる。


そんな時代に、私たちは今、一体何をすべきなのでしょうか?




それではまた。

コンカズ


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