Life in the UK

【イギリスの政治制度】をわかりやすく解説



どうも、コンカズ (@konkazuk) と申します。


祝! 新政府の誕生!!!


国民総選挙が無事に終わり、予想されていた通り労働党が勝利を収めました。


極右なメディアとシンクタンクとスクラムを組んで、自らの利益のために犯罪行為を繰り返してきた、法律破りの保守党。

14年間かけてズタズタにされた国を再建しようと試みる労働党には、言うまでもなく相当タフな5年間が待ち受けています。



国民は、過去14年の間で、この国で何が起こってきたのかを、極右翼の人間が編集を務めるメディアからではなく (数多くのニュースペーパーに加え、残念ながらBBCも幾分操られてしまっているようですが)、公平な視点を持った情報源から、もう一度しっかりと学んで理解し、


ここまで毒が回ってボロボロな状態からでは、たとえすぐに約束を守れなくても、まぁ、当たり前やろな。


ぐらいのスタンスで、新しい政府を長い目で見ていくことが大事だと思います。

あと、グリーンパーティーが4席勝ち取ったのは、嬉しいニュースですね。


というわけで今回は、「イギリスの国家の仕組み/政治制度」をかなり大ざっぱではありますが、わかりやすくまとめてみました。

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イギリスの君主制度

photo by Annie Sprats

それではまず、国家の体制から見ていきましょう。

立憲君主制とは?

photo by Liza Pooor


まずはイギリス国家の統治形態ですが、イギリスには王様(現在はチャールズ3世)がいるので、アメリカやロシア、ドイツなどの


共和制 (republic/ 王様を置かない国)


に対して、


君主制 (monarchy) 


と呼ばれます。


君主制 (王様制) の国家と言うと…

みなさん歴史の教科書で習ったように、王様の子孫が代々特定の地位や財産を承継して、次第にダラけて贅沢三昧の生活になったあげく、それを補うために国民に重税を課して…

しまいには生活が苦しくなったみんなでアイツをやっつけろー!!!ってなイメージがあると思います。

from wiki image

第一次世界大戦の後ぐらいから、何々帝国みたいなのが次第に消えてゆき、現在共和国の体制をとっている国がたくさん存在している事実と比べてみると、若い世代の人達から見たら、王様がいる国なんて21世紀にもなって何やら古臭いやら、怪しいなどの印象を受けるかもしれません。

(日本にも天皇さんがいますが…。)


…が、これが意外にうまくバランスが取れているみたいで、この国イギリスでは民主主義のメンツは、とりあえずはいまだに保たれています。(ここ十数年の間に、貧富の差は確実に広がってきていますが…)

これは、君主制は君主制でもイギリスでは『国王は君臨すれども支配せず』というカタチの議会政治、立憲君主制(constitutional monarchy) をとってきているからです。



ちなみに、日本の天皇が、 “日本国と日本国民の象徴”(日本国憲法第一条)とされて、政治の外側に立っている点は、イギリスの立憲君主制の形にそっくりですよね。


これは、第二次世界大戦後に日本を占領・管理するために東京に設置された General Headquarters/GHQ (連合国の最高司令官総司令部) が日本の天皇制の戦後処理をどうするかってことになった時に、イギリスの立憲君主制の形を範として残していくべきでは? って事になったのが理由です。

国の権力を握っているのは?

photo by Ana Gic

というわけで現在のイギリスの国王 (チャールズ3世) は国の親分ってことに変わりはありませんが、政治的な力は持っていません。


他国との友好関係を保つための国際的な訪問や、儀式的な行事への出席などで重要な役割を果たしています。(イギリス国王は、コモンウェルスの首長であり、イングランド国教会の首長でもあります。)

イギリスという国の中で、最も強い権力を持っているのは政府 (Government) であり、そのトップは 総理大臣 (Prime Minister) / 現在は労働党出身のキア・スターマーさん・Keir Starmer。そして政治的な決断はすべて議会 (Parliament) を通してなされます。



ただ、王様は常に政治の外にいるわけですが、総選挙の後に選ばれた総理大臣が王様を訪問する際に…


「よく来てくれた。わしがチャールズ3世だ。てなわけで、わしの名の元に政府を作ってくれたまえ。」


と言われるので、カタチとしては王様の政府 『His Majesty’s government』と呼ばれるわけです。

image taken from postcard

総理大臣と王様は週1ペースでミーティングを行って、今現在社会で起こっている問題やこれからの課題について話し合いをするわけですが、その内容については極秘」 と言うことで公開はされません。

イギリス政府の仕組み

photo by Jordhan Madec

総理大臣は任期中 10 Downing Street”、に住み込み、内閣の大臣達からの助けを借りながら、政府を引っぱっていきます。

10 Downing Street の映像は、ニュースなんかで総理大臣が重大発表する時なんかによく出てきますよね。


総理大臣は、自分が総理大臣に選ばれた後、まずは内閣 (Cabinet) のメンバーを決めなければなりません。



内閣は通常、総理大臣自身を含めて21〜25人の内閣大臣(政府の先任者から選出)によって構成されます。



そして現在の労働党内閣の中身 (2024年7月現在) はというと…

大臣の名前ポジションと役割
Sir Keir Starmer内閣総理大臣
(Prime Minister)
政府のトップ。政策の立案や施行、外交関係の代表などを行う。

財務大臣
(First Lord of the Treasury)
財務省の長として、国家の財政や予算を管理する。
Angela Rainer副総理大臣
(Deputy Prime Minister)
首相の補佐役。首相の不在時には首相の職務を代行することもあり。

住宅/地域社会向上担当大臣
(Secretary of State for Leveling Up, Housing and Communities)
地域間の格差の解消(Leveling Up)、住宅問題の改善、地域社会の発展を推進
Rachel Reeves大蔵大臣
(Chancellor of Exchequer)
イギリス政府の財務担当大臣。国の財政政策や経済政策の策定・実施を主導する。
Yvette Cooper内務大臣
(Home Secretary)
内務省の最高責任者。国内の法と秩序、治安、移民、警察、消防などを管轄する。
Ed Milibandエネルギー安全保障/Net Zero 国務大臣
(Secretary of State for Energy and Net Zero)
国のエネルギー政策と温室効果ガスの排出削減目標の達成を担当。
Mr David Lammy外務大臣
(Foreign Secretary)
外交関係の管理や指導、国際的な協定や条約の交渉・締結、国際問題の解決に関与。
Pat McFaddenランカスター公領大臣
(Chancellor of the Duchy of Lancaster)
内閣と議会の間の連絡役として機能し、政府の戦略的課題や政策の実施に関与。
Shabana Mahmood大法官兼司法大臣
(Lord Chancellor and Secretary of State for Justice)
司法と行政の橋渡し役として、司法の独立を保ちながらも、司法制度の効果的な運営を図る。また、法務省の責任者として、法律の制定・運用に関する政策の策定と実施を監督。
Wes Streeting保健・社会福祉大臣
(Secretary of State for Health and Social Care)
NHSや社会福祉サービスの管理など、国民の健康と福祉を守るための政策を担当。
Jonathan Reynoldsビジネス・貿易大臣
(Secretary of State for Business and Trade)
国内外のビジネスと貿易を促進し、経済の発展をサポート。

貿易委員会議長
(President of the Board of Trade)
貿易に関する政策と交渉をリードし、国内企業の国際取引をサポート。
Liz Kendall労働・年金大臣
(Secretary of State for Work and Pensions)
国民の年金や福祉を管理し、雇用を促進する。
John Healey国防大臣
(Secretary of State for Defence)
国の防衛と軍事活動を統括する。
Louise Haigh運輸大臣
(Secretary of State for Transport)
交通と輸送に関する全ての政策とインフラの管理を行う。
Peter Kyle科学・イノベーション・技術大臣
(Secretary of State for Science, Innovation and Technology)
科学、イノベーション、技術に関する全ての政策とプロジェクトを管理。
Hilary Benn北アイルランド担当大臣
(Secretary of State for Northern Ireland)
北アイルランドに関する全ての政策や自治政府との関係を担当。
Ian Murrayスコットランド担当大臣
(Secretary of State for Scotland)
スコットランドに関する全ての政策や自治政府との関係を担当。
Bridget Phillipson教育大臣
(Secretary of State for Education)
教育システムの質を向上、公平な教育の機会を提供するための政策を開発。
女性差別・不平等関連担当大臣
(Minister for Women and Equalities)
女性と少数派グループの権利を守り、平等な社会を実現するための政策を開発。
Lisa Nandy文化・メディア・スポーツ大臣
(Secretary of State for Culture, Media and Sport)
国民の文化的・メディア的・スポーツ的な興味と参加を促進する。
Sir Alan Campbell財務省議会次官
(Parliamentary Secretary to the Treasury [Chief Whip])
党内の調整、議会の運営、党内組織の運営を担当。
Darren Jones財務省次官
(Chief Secretary to the Treasury)
予算案の準備、財政政策の立案と実行、および財務省の日常業務の管理を担当。
Baroness Smith of Basildon上院院内総務及び王室私印官
(Leader of the House of Lords and Lord Privy Seal)
上院で立法スケジュールを管理し、議会と政府の間の調整役として働く。
Lucy Powell内閣委員会議長兼下院院内総務
(Lord President of the Council and Leader of the House of Commons)
下院で立法スケジュールを管理し、政策や立法の進行をサポート。
Jo Stevensウエールズ担当大臣
(Secretary of State for Wales)
ウエールズに関する全ての政策や自治政府との関係を担当。
Steve Reed環境・食物・農業関連担当大臣
(Secretary of State for Environment, Food and Rural Affairs)
環境保護、食物供給、農業、および農村地域に関する政策を担当。
Anneliese Dodds女性差別・不平等関連担当大臣
(Minister of State [Minister of Women and Equalities])
女性や少数派グループに対する差別をなくし、平等な社会を推進。

見ての通り、なかには二役やってはる人もいますよね。💦


時にこれら内閣の大臣達は、総理大臣の判断によって、ある部署から違う部署に移されたり、また仕事のパフォーマンスがヘボかった場合には、最悪クビにさせられることもあります。


ちなみにこれは “Cabinet reshuffle”(キャビネット・リシャッフル)と呼ばれます。

日本で言うところの「内閣改造」ですね。


イギリスの議会の仕組み

photo by Deniz Funchidzhiev

イギリスの議会 (Parliament) は…

上院 (House of Lords)
⚫ 下院  (House of Commons)
⚫ 君主 / 国王  (Monarch


によって構成され、ウェストミンスター宮殿 (Palace of Westminster)、公式には the “Houses of Parliament”、 日本でいう国会議事堂で開かれます。

ちなみに日本やスウェーデン、デンマークなどの議会は the Diet (ダイエット)、アメリカや南米・中米共和国の議会は Congress (コングレス)、と呼ばれます。



議会は二院制で、上院(貴族院)と下院(庶民院)から構成されます。

House of Commons / 下院議院庶民院)

image taken from Wikipedia

House of Commons (下院議院)は、国民の選挙によって選出された 650人の議員 (Members of Parliament / MPs) によって構成されます。

イギリスは650の選挙区 (Constituency) から成り、下院議員総選挙 (General election) は、5年に一度 (または議会の解散後) 開催されます。



選挙権 (right to vote) を登録した国民は、自分が住んでいる選挙区から議員になるために出馬する何人かの立候補者たち (Candidates) の中から、いちばん自分の考えが反映されていると思われる立候補者を選んで投票 (vote) することができます。

例外はありますが、たいていの議員立候補者は、何らかの政党 (Political party) に属しています。


よく知られている政党を挙げてみると…

🔹Labour Party (労働党)
イギリスの主要な政党の一つで、労働者の権利や社会福祉の拡充を主張。
基本左派ですが、トニー・ブレア政権以来、真ん中寄りになり、党内での路線対立が見られる。

🔹Conservative Party(保守党・Tory
英国のもう一つの主要な政党で、自由市場経済と伝統的価値観の維持を主張。
近年は、EU離脱を含め、大富豪実業家にとって都合の良い政策をとってきたため、国民からの信頼はかなり低下。

🔹Liberal Democrats (自由民主党)
左派の真ん中寄り。自由主義と社会正義を重視し、環境問題や人権の保護を重視。
今回の選挙では、かなりの席の獲得に成功。

🔹Green Party (環境保護・みどりの党)
環境保護と持続可能な社会の実現を目指す政党。気候変動対策や再生可能エネルギーを推進。
(個人的には2大政党のうちの1つになってほしい!)

🔹Scottish National Party (スコットランド国民党・SNPとも呼ばれる)
スコットランドの独立を目指す政党で、左派。
スコットランドの自治権拡大と社会福祉の強化を主張。

🔹Reform UK (リフォームUK党)
「ブレグジット党」として設立され、2020年に「リフォームUK」に改名。
国際的にもネオナチなどの最右翼団体と繋がっている、極右政党。



選挙の結果、650席あるなかで、最終的に最も多数の席を占めることができた政党 (現時点では労働党) が選挙の勝者・与党 (Ruling party)となって政府 (Government) を立ち上げ、その政党のリーダーが総理大臣となります。

image taken from Gov.uk


一方で、2番目に多数の席を占めた政党は Opposition (日本でいう野党・現時点では保守党)と呼ばれ、Shadow Cabinet (影の内閣) を立ち上げて、対立する与党であるオモテの内閣の活動を批判したり、問い詰めたりして挑んでいきます。

House of Lords / 上院議院(貴族院)

image taken from Wikipedia

イギリス議会のもうひとつの議院は “House of Lords / 上院議院です。

上院議院はおよそ800人のメンバー(総理大臣の助言をもとにして、国王から選出される)によって構成され、みなさんそれぞれがあらゆる地位、階層の出身です。

メンバーは、ビジネスから法律、科学、教育、文化、スポーツ、公共サービスなど、それこそいろんな分野で成功して活躍している人達で、自らの深い知識や経験などを用いて、イギリス国民全体に関わる問題を検討していきます。

House of Lords (貴族院) の役割としては、政党政治で国を動かしているHouse of Commons (庶民院) が暴走していたらストップをかけ、つまずいていたらサポートするという感じです。



どちらかの院が決議した事柄に対しては、必ずもう片方の院の承認が必要となります。

これらのボキャブラリーはどんな意味?

image by Andrea De Santis

ここでは、政治関連のニュースで時々に耳にする、あまり馴染みのない「えっ、何コレ?」的なボキャブラリーを解説していきます。

Whip

image by Jocelyn Morales

Whip (ウィップ) とは、党内の秩序、規律、効果的なコミュニケーションを維持するために、党内に置かれた役人。上院にも下院にも、それぞれの党にウィップが配置されています。


主な仕事は、

投票で決断がなされる際に、党員が個人的な概念ではなく、党の方針に従って投票しているかをチェックして、党の規律を保つ。
党の立場をメンバーに伝え、メンバーの懸念や異議を指導部に報告。
特に重要な投票にちゃんとメンバーが出席するようにオーガナイズする。
党内分裂を防ぐためにメンバー間での交渉や調停を行う。


党内で最も上級のウィップは、Chief Whip (チーフウィップ) と呼ばれ、他のウィップの仕事を調整しながら、党の指導者と連絡を取り合います。

Peer

image taken from Wikipedia

Peer (貴族) は、特定の貴族階級のメンバーで、特に立法に関与する”House of Lords” (貴族院)の議員を指します。
(貴族には、”aristocrat” というボキャブラリーもありますが、こちらは広い意味で貴族階級全体を指し、特定の政治的役割を必ずしも含みません。)

イギリスの貴族制度は “Peerage” と呼ばれ、5つの貴族位が含まれます。


これらをランク順に並べると…

⚫Duke公爵
歴史的に最も多くの土地と権力を持ち、国王に次ぐ地位を占める。
例)Duke of Cambridge (ケンブリッジ公爵)、Duke of Sussex (サセックス公爵)

Marquess侯爵
元々は国境地帯の防衛と統治を担当し、公爵に次ぐ大きな土地の持ち主。
例)Marquess of Salisbury(ソールズベリー侯爵)

Earl伯爵
歴史的には、広大な土地と影響力を持っていた地方の統治者。
例)Earl of Derby (ダービー伯爵)

Viscount子爵
もともとは伯爵の補佐を務める役職でしたが、後に貴族の称号となる。
例)Viscount St. Albans (ヴィスカウント・セント・オールバンズ)

⚫Baron男爵
国王に忠誠を誓い、領地を管理したり、軍事的支援を提供したりしていた。
例)Baron Addington(バロン・アディントン)


ちなみに、これらの位は家系を通じて代々引き継がれるものが多いようです。




あと、”Life Peerage“という言葉もありますが、これは一代限りの貴族のこと。


政治、経済、科学、芸術などの分野で顕著な功績を残したり、公共サービスににおいて長年の貢献が認められた人物には、生涯にわたって貴族の称号が与えられます。しかしながら、そのタイトルを子孫が引き継ぐことはできません。

Spin doctor

image taken from Wikipedia

Spindoctor (スピンドクター)とは、政治家や政党の成功のために裏で働く戦略家。
有名なところでは、元首相トニー・ブレアの広報顧問として知られる、写真上の “Alastair Campbell” (アラステア・キャンベル)。

スピンドクターの具体的な役割は…

メディアを通じて伝えるメッセージやストーリーを計画するなどの戦略を立てる。
メディア関係者との良好な関係を築き、情報を提供することで報道をコントロールする。
政治家や政党が、国民にポジティブな印象を与えられるようにアドバイスする。
特定のメッセージを強調したりすることによって、世論を有利な方向に導く。
スキャンダルが発生した際に、迅速に対処する。



ということで、今回の記事はこんな感じとなります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

それではまた。

コンカズ

*この記事の英語ヴァージョンはこちらから
👉 【UK Political System】explained!!!

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👉 【イギリスの教育制度】の特徴を簡単にまとめてみました。

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