どうも。コンカズ (@konkazuk) と申します。
最近、僕が注目しているイギリスの元シティバンクのトップトレーダー、そして現在はYouTuberとして格差社会の是正を訴えるゲイリー・スティーブンソンが、なんと僕の地元ハックニーでトークショーを開催することに。
超富裕層への富裕税導入を主張し続ける彼の生の言葉を聞くチャンスを逃すわけにはいかない! というわけで、カミさんを連れて行ってきました。
今回はそのレポート記事となります。
ゲイリー・スティーブンソンがどんな人物かについては、こちらの記事を参考にしてください。
👉 貧富の差拡大を阻止するエコノミスト、ゲイリー・スティーブンソンの活動
ゲイリーさん登場!

会場は、家から歩いて20分ほどの場所にある劇場、ハックニー・エンパイア。
実は昔バンドをやっていた頃に、同じ建物内のフロントのバーで演奏したことがあるのだが、一曲目からいきなりギターの弦が切れて、対バンのメンバーに弾き慣れないギターを借りる羽目になり、散々なパフォーマンスをしてしまった苦い思い出がある。
…と、まぁ自分の事はさておき、会場の内装は歴史を感じさせる雰囲気に満ちていて、まるで老舗のパブにいるかのような趣アリ。
客層のメインは、20代後半から40代といったところか…。意外にも女性客の姿が多い。
席は前から5列目。ゲイリーさんをかなり近くで見ることができるため、ワクワクする。

開演時間になると、ゲイリーさんとはフットボール仲間だという ラッパーで俳優のジョーダン・ステファンズ が登場し、彼を紹介。
すると、舞台袖からゲイリーさんが現れた。
おなじみの、映画『千と千尋の神隠し』のカオナシがプリントされた黒のパーカーに、アディダスのジャージ、赤のフットボール用ソックス、そしてオニツカタイガーのシューズ。
客席は温かい拍手と声援で彼を迎えた。
自分をケアし、他人にも手を差し伸べる

今回の公演は、約1年前に発売されたゲイリーさんの自伝小説 “The Trading Game“ のペーパーバック版がペンギンブックスから発売されることを記念したプロモーションの一環。
そのため、本の内容がトークの中心だったけど、登場人物にまつわるエピソードや、物語の緊迫した場面について直接語られ、ゲイリーさんの人柄がより鮮明に伝わるものだった。
特に印象的だったのは、トレーディングに没頭するあまり「勝つこと(=誰よりも稼ぐこと)」がゲイリーさんの全てとなり、彼を崇拝していた弟分のハリーが、ブローカーの取り巻きとつるむうちにコカイン中毒になってしまったエピソード。
ハリーのパーティー三昧にうんざりし、口論になった際、ハリーは「親父さんに最後に会ったのはいつだよ? 友達となんで連絡取らないんだよ?お前が俺を捨てる時は、面倒を見る人間がいなくなるわけだから、お前は心を失ったマシーンのようになってしまうんだぜ」と言った。後になって、その言葉がまさに真実だったことに気づかされたという。
また、日本で仕事をしていたときのエピソードも興味深い。カラオケが嫌いだったゲイリーさんに、当時の上司が「カラオケは上手く歌うことが大事なのではなく、どれだけ周りの人を喜ばせることができたかが重要なんだ」と言い、それを聞いて「なるほど」と思ったという話があった。
これらのエピソードを通じて、ゲイリーさんは
現代社会は『自分のために生きる』か『他人のために生きる』か、どちらかを選ばなければならないかのようになってしまっている。しかし、それが原因で『コミュニティ』が徐々に失われ、それこそが現在の格差社会の根源になっている
と語っていた。深い話だと思った。
生きていくのが精一杯の人もいるわけだから、人によって他人のことに構うことができる余裕の度合いは異なってくる。それでも「自分のために生きる」と「他人のために生きる」はどちらかを選ぶものではなく、私たちは両方やっていかないと、何かが途中で狂ってくる。
これが、今回のトークのメインメッセージだったように思います。
巨額の富を握る者たちに対抗できるのは、大衆の団結の力しかない!

「格差社会をぶち壊すために、ゲイリーさんは何をしようとしているのか?」
ってことですが、
格差社会は、ほんの一握りの超大富豪たちによって意図的に作り上げられているため、彼らに対抗するには、それ以外のすべての人々が団結するしかない。
ってことで、その大衆の力を結集させるために闘っているということになります。
相手は巨額の富と権力を握っているため、メディアを操って虚偽の情報を流したり、移民問題などを利用して一部の大衆を扇動したりすることで、一般市民同士が敵対するよう巧みに仕向けています。
大衆全員がこの事実を知っていればよいのですが、残念ながら政治に関心のない人も多く、さらに環境問題や政治への関心を逸らすよう、ここでもメディアが操作を行っています。
確かにお金は重要ですが、「競争に勝つこと=誰よりも多くのお金を稼ぐこと」が人生の中心になってしまうと、「何を持っているか?」が最終的なステータスになり、他人を思いやる気持ちが薄れてしまいます。
あなたが持っているものは、発展途上国の人々が過酷な環境の中で長時間働き、命を削りながら作り上げたものかもしれません。しかし、その現実はあなたの目には見えないため、気に留めることもないでしょう。
たとえ一般市民の間で多少の経済格差があったとしても、世の中のごく一部の超大富豪たちとは比べものにならないため、ゲイリーさんは、このまま放置すれば、いずれ一般市民全体が彼らの欲望に飲み込まれ、最終的には封建社会に逆戻りしてしまうと警告しています。

その前に、気候変動によって人類の終わりの方が先に来そうですが……。
でも、彼らを止めることは、気候変動を食い止めることにもつながりますよね。
というわけで、どちらにせよ自分が billionaire でない限り、私たちは皆、団結しなければなりません。
そのためにも、「自分のために生きる」と「他人のために生きる」の両方を実践していく必要がある、ということですね。
というわけで、ゲイリーさん今日も熱かったです。🔥
それではまた。
コンカズ
*この記事の英語ヴァージョンはこちらから
👉 Why Gary Stevenson Says a Billionaire Tax Is Urgent – Hackney Event Report