Life in the UK

突然のメール「あなたが住んでいるフラットを売ることに決めました」を、ロンドンで大家さんから受けとったら…《Part ①》



どうも、コンカズ (@konkazuk) と申します。


今回は、タイトルでは「対処法」なんて言っちゃってますが、実際のところは「対処中」つまり現在進行形で、僕と僕の家族に起こっている出来事に関してのブログポストです。


僕がはじめて書いた記事「イーストロンドン/ハックニーの治安 & 都市開発」では、都市開発による地価の上昇によって生じた家賃の押し上げにより、12年前に現在の住所まで押しやられてきた経過が書かれていますが、今回コレに追い討ちをくらっているという状態にあります。


しかも昔とはシチュエーションが異なり、イーストロンドン全体の地価がここ10年の間に爆上がりし、さらには学校に通っている10代の子供を2人抱えているという状況なので「ハイ、それではもう少し離れた安いところに移動しま〜す。」というわけにはいきません。



そんなこんなで色々とリサーチをした結果、ある手段にたどり着いたので、この先どうなるかはわかりませんが、今僕がとっている行動を、Part ① と Part ② に分けて解説していこうと思います。


ということで、ヨロシクッ!

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Section21とは?

image by Victoria Regen

現在イギリスにおいて、「あなた、申し訳ありませんが、O月O日までにこの家から出ていってください。」という大家さんからくる突然のメール、または手紙は通常 “Section 21“というフォームで送られてきます。

“Section 21″とは、大家さんが自分の管理するフラットから、住人に出ていってもらいたい際にとる「立ち退きの通告」第一段階の公式なフォーム。


今まで平穏に暮らしていて、突然こんな通知が届いたら正直なところ焦ります。💦



…が、たとえ立ち退き予定日が来てしまっても、イカついお兄さん達が現れてあなたを放り出す、なんて事は起こらないので、とりあえずはご安心ください。

この国であなたを強制的に退去させることができるのは、警察と “bailiff” と呼ばれる裁判所から送られてくる執行吏のみです。


ついでながら、”Section 21″ を通告するのに、大家さん側には特別な理由は必要とされません。


ただし通告に関しては、指定した立ち退き予定日から、少なくとも8週間前にテナントに伝えられていなくてはなりません。

“Section 21″ に記入されている日付けと、大家さんが指定してきた立ち退き予定日の間が、8週間を切っている場合、通告は無効となります。


通告を受けたらどうする?

image by Jonathan Cosens

はい。

通告を受けた後、最終的に取る方法は人によって異なるかもしれませんが、いずれにせよ今住んでいる場所から出なくてはならないということで、まずは物件探しです。

① 引っ越し先を探す

image by PhotoMIX-Company

不動産系のウェブサイトは、zooplarightmove などを含め、たくさんあります。


それぞれのサイトを訪れて、そこで住みたいエリアのポストコードと、月々自分が払える金額を打ち込んで色々と調べてみましょう。

近場に引っ越したいのであれば、近所の不動産屋に直接足を運んでみると、窓に展示されている以外にも、他に物件を持っている場合があるので、そこで直接話してみるのもアリです。



後は連絡を取り合って、実際に物件を見せてもらい、気に入ったら契約を済ませます。


そうしたら、今の大家さんに引っ越しする日を伝え、それに合わせて電気や水道、郵便などをストップする手続きを済ませてしまえば、手続きはほぼ終了です。

あなたがまだ若く独身で、現在自分が住んでいるエリアに特にこだわりがないのであれば、そこまでややこしい話ではないかもしれません。




ところが問題は、僕のように家族がいて、子供達が学校に通っているケースです。

子供がまだ小さいのであれば引っ越しも可能ですが、10代ともなってくると、今まで関係を築き上げて来た友達が、地元にはたくさんいます。

さらに僕が今住むエリアは、都市開発による環境の改善により、学校のクオリティーも上がってきました。

エスニックマイノリティ丸出しの純日本人の子供達を、今の安全な学校から離れさせ、ラフなエリアに移り住んだ結果、人種差別によるいじめが普通に起こるような学校に通わせなくてはならなくなった、なんて事は親としてはどうしても避けたいです。



とはいえ、イントロでも述べたように、イーストロンドンでは、オリンピック以前からすごい勢いで開発が進められていて、僕が住むハックニーという区域は、ここ10年のハウスプライスが112%上昇なんていうデータも出ており、近所にウチらのような収入の家族が住める物件が、今となっては存在しません。



それならどうしたら良いのか…

② カウンシルに相談する

image by Anton Ponomarenko

自分が住んでいる “borough” (自治区) 内にある、”council” (地域の発展や福祉のために住民にサービスを提供する自治体の行政組織)に助けを求める、という手があります。


特にイーストロンドンでは、地域の高級住宅化により、住居から追い出されていく人達がホームレスになってしまうことを防ぐために、ここ何年もの間、各自治区のカウンシルが活動に力を入れています。


カウンシルのウェブサイトをチェックするにせよ、カウンシルに直接出向くにせよ、”Section 21″ を受け取ってから、なるべく早いうちに連絡を取ったほうがいいです。


カウンシルとのやりとり

image by Mar Ko

「建物の中は、恐らくたくさんの人でごった返しているんだろうな?」と、カウンシルに出向いてみると、何年か前に訪れた時とは状況が異なり、館内はガラガラで、真ん中に受付が設けられているだけ。


頭の中でいろいろと計画を練りながら、相談する気満々で行った僕は、完全に面食らってしまった。



「ここに電話すればスタッフが対応してくれます。」と言われ、電話番号が書かれた紙切れを渡されて終了。

どうやらパンデミック以来、大半のスタッフは在宅ワークにシフトしてしまったらしい。



状況を説明して話を聞いてもらおうとしても、「まずはここに電話してください。」「絶対に立ち退き指定日の前に、引っ越してはいけません。」ぐらいしか返ってこない。



この時点でまだ何も理解していない自分にとって、「立ち退き指定日の前に引っ越すな!」の言葉は、大家さんには、今までずいぶんとよくしてもらっていたので、正直なところ抵抗がありました。


引っ越してはいけない理由は、後になって分かりましたが…

カウンシルに電話をする

image by The Hilary Clark

というわけで、今僕が住んでいる地域でカウンシルと連絡を取るには、電話をかける以外ほかに方法がなさそうです。



仕事の休憩時間に電話をかけてみると…



「オペレーターはただ今大変忙しく、電話を取ることができません。ご迷惑をおかけしますが、対応できるまでしばらくそのままでお待ちください。」



5分、10分、

う〜ん… そろそろかな…



15分、20分…

でない! スピーカーモードに切り替える。



25分…

アカン。休憩時間終わってまう…


…I’m giving up.




このことを同僚に話すと、カウンシルに連絡を試みて30分以上待たされるのは、どうやら普通らしい。

毎日たくさんの人が連絡しているという事実と、1回のセッションが単純に30分以上かかるということで、相当タイミングがラッキーでない限り、少ない待ち時間で相手が出ることはないようだ。



というわけで、僕は6回目の休憩時間 (連絡を試みた日から3日目) で、はじめてオペレーターと話をすることができたので、これからカウンシルにかけようと試みている人には、


はじめから時間がかかるものだと割り切って、辛抱強くトライする


という事をここで伝えたいです。

オペレーターとの会話の内容

image by Samuel Regan Asante

さて、ここからが大事な部分になってきます。


現在の状況をまとめると…


まず自分は、現在の住所から立ち退きを求められている。

⬇︎

それでいて、今住んでいるエリアから離れたくないけど、収入に見合った物件が同じエリアに見つからない。

⬇︎

このままでは、ホームレスになってしまう。



というわけで、カウンシルに助けてもらうためには、”Homeless Application” の申請をしなくてはなりません。

日本人の中には、「ホームレス」という言葉に抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、カウンシル側からすれば、住むところがある人を助けることはできません。



先ほど、カウンシルを訪れた際に、受付係の人とのやり取りのところで記述した「絶対に立ち退き指定日の前に引っ越しをしてはいけない!」というのは、


立ち退き指定日を超えた = 住む家がない


という、形式上ホームレスになることによって、はじめてカウンシルが介入することができるという理由からです。

逆に、立ち退き指定日の前に引っ越しをしてしまうと、カウンシル側は、住む場所があるのにホームレスのふりをしてサポートを得ようとしていると見なし、対象外とされてしまうので要注意。



というわけで、オペレーターとの会話は、基本的にあなたとあなたの家族が、カウンシルからのサポートを得る対象にあるかどうかをチェックするための情報収集がメインとなります。



僕の場合で、ザッと思い出せる限りでは…

自分とカミさんの名前 / 生年月日 / 電話番号 / NI (National Insurance) ナンバー [国民保険番号] / 職業 / 収入 / 貯金 / 借金 / 現在の家賃 / 大家さんの名前 / 子供たちの名前と年齢 / 現住所 / 今の住所に住んでいる期間 / チャイルドベネフィットなど政府から受け取っているサポートとその額、など。



これらが終わると、メールアドレスを聞かれて、そこにリンクが送られてきます。


リンクを開けると、あるウェブサイトに行き着くので、そこで上で述べたことを証明するための書類をアップロードしておいてください、というところで会話はおしまいです。

ちなみにここで必要な書類のリストは僕の場合…

✔ ID (自分を含め、家族のメンバーのパスポートとビザのページのコピー)
✔ Tenancy agreement (大家さんとの賃貸借契約書)
✔ Deposit protection certificate (フラットを借りた時に支払った保証金の保護証明書)
✔ Notice to quit (大家さんから送られてきた Section 21の書類 )
✔ Bank statement (normal account / joint account) 自分と配偶者のを最近2ヶ月分
✔ Pay slips (給料明細) 自分と配偶者のを最近2ヶ月分または5週間分
✔ Contract of employment (自分と配偶者の現在の仕事の契約書)
✔ Immigration document (自分と配偶者のホームオフィスから送られてきた入国書類)
✔ Birth certificate (子供の出生証明)
✔ Child benefit award letter (子供手当の歳入関税庁からの手紙)
✔ Proof of debts (クレジットカードなど借金の記録)



…でした。


この中で特に大事なのが、”ID” と “Immigration document” の2つですかね。

パスポートのビザに関しては、ブリティッシュ、またはアイリッシュの市民権をもっていなくても、”ILR” (Indefinite leave to remain) を持っていれば、大丈夫です。


あと、もう一つのポイントとして、ポストパンデミック、イーストロンドンの都市開発、物価の急激な上昇などにより、現在たくさんの人が支払い可能な家を探しているのに対し、住居供給の数が間に合っていないため、競争率が激しいという事実があります。



というわけで、カウンシルが優先的に住居を供給する対象としては、

⚪ 家族の中に未成年の子供がいる。
⚪ 体に障害を持っている。
⚪ 自然災害による家屋の崩壊。
⚪ 現在妊婦である。
⚪ フラットの部屋の数に対して、住人の数が快適に過ごせないレベルに達している。


などがあります。



そして、最後にもう一つ大事なこととして、

立ち退き指定日を過ぎても引っ越せないとわかった時点で、必ず前もってその事実を大家さんに伝えておきましょう。



大家さん側にも、手続きする事がたくさんあるわけですし、運が良ければ大家さんも考えを変えて、結局引っ越しをしなくても大丈夫になった、なんてケースもあるそうです。

ローカルMPと連絡を取る

image by Manuele Sangalli

MP“とは、”Members of Parliament” の略、つまりは「国会議員」のことです。


あなたの住んでいる “Borough” (地区) は、さらに選挙区としても分割されていて、各選挙区には区をを代表する国会議員がいます。


自分の住む “Borough” のカウンシルのウェブサイト、または “Find your local MP” みたいな感じでグーグル検索すれば、自分の住んでいるエリアを代表する国会議員が簡単に見つかります。

大抵の国会議員は、自分のウェブサイトを持っているので、そこにいけば連絡先 (電話番号、またはEメールアドレス)をゲットすることができます。



ローカルMPが、自分の取り締まっている地区の人間が困っていて、助けを求めるメールを出しているのに無視をするなんてことは、まずありません。



ググってみれば、「国会議員への手紙の書き方」のテンプレートなどはすぐに出てくるので、それを参考にしながら、自分の今の状況を説明し、相談してみましょう。


僕の場合は、メールを出してから約10日後に返事が返ってきました。

返ってきたアドバイスが、直接役に立たなかったとしても、メールとして記録に残っているので、何かの手続きの際に使える時が来るかもしれません。



さらにラッキーなケースとして、あなたのローカルMPが定期的にカウンシルを訪れて “surgery” (=面談) を開いている場合もあります。


この場合は、直接相談を持ちかけることができるので、ぜひ利用しておきましょう。

今後の流れ

image by Michael Schwarzeberger

…というわけで、ここまでやったところが、僕たちの現在位置となります。



現在わかっている今後の流れとしては…


立ち退き指定日が来る。

⬇︎

前もって「立ち退き指定日を超えても引っ越しができない」ということは伝えてあるので、ここで大家さんは、この事実を裁判所に持っていきます。

⬇︎

すると裁判所から立ち退きの手紙が家に届くので、ここでアドバイスされた通り、早急にカウンシルと連絡をとり、ここからハウジング専門の係の人とのやりとりがはじまる。


という感じですかね。


正直なところ、毎日ドキドキしながら生活を送っていますが、何しろ経験したことがないことなので、あとは運を天に任せるのみ、といった状態です。



最後にシェルターのウェブサイトが、情報を収集するのに非常に役に立ったので、さらに詳しく知りたい人のために、リンク付けしておきます。

👉 shelter.org.uk



それでは、この先どうなっていくのかはわかりませんが、Part ② のブログポストでお会いしましょう。



コンカズ


*この記事の英語ヴァージョンはこちらから

👉 Landlord has given you a notice of eviction out of the blue, and… what’s the next move? 《Part ①》

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