どうも。イーストロンドン在住のコンカズ(@konkazuk)と申します。
今回の記事は、以前ポストした記事の後編、つまり《Part ②》となります。
長い戦いでしたが、やっと終わりが見えてきた感じなので、ここで後編を書いておきます。
カウンシルのアドバイス通り、大家さんからの立ち退き指定日を過ぎても引っ越しをせずに現状キープ。その後、この状態から結局どうなったのか?という内容となっておりますが…
結論から先に言ってしまいますと、この記事のタイトルである、
突然のメール「あなたが住んでいるフラットを売ることに決めました」を、ロンドンで大家さんから受けとったら…
の答えは、
あなたが現在ロンドンの中心地に住んでいて、大家さんから Section21(立退通告)をくらったら、あなたに家賃の30倍の年収があるか、またはコネを使って物件を見つけない限りアウトです!
という事になります。
とは言っても、まだ地区によっては希望があるところもあると思うので、とりあえずは手続きなどの形式的な部分から書いていきます。
カウンシルからの連絡
オペレーターとの最後のやりとりでは、大家さんからの立ち退き指定日を過ぎてからでないと、形式上ホームレスとして取り扱うことができないため、本格的なアクションがとれないとの事でした。
立ち退き指定日を過ぎた時点で、早急に連絡してきてくださいと言われていたので、それ以前の連絡はないであろうとたかをくくっていたところ、当日にメールをチェックしてみたら、なんともヤバいことに…
前の週の金曜日にメールが届いていて、月曜日の11:30amに、カウンシルでハウジング担当の人との面接がブッキングされている…。
このことをカミさんに伝えると、案の定大騒ぎに… 💦
このメールに気づいたのが月曜の昼過ぎだったので、すっぽかした件についての謝罪と、もう一度チャンスをもらえるようにメールすると、フェイス・トゥー・フェイスの面会はムリだけど、電話インタビューならOKだという事となり、翌週の水曜日に無事予約がとれました。Phew! 💦
というわけで、今後僕と同じようなシチュエーションにならないように、カウンシルとコンタクトする方は、立ち退き指定日前のメールチェックはしっかりやっておくことをここで伝えておきます。
そして、時は一瞬にして流れ、電話インタビューの日が到来。
僕たちの将来は、もうこの電話一本にかかっているのでかなり緊張していたが、ハウジング担当の人はとても親切だったので安心しました。
ここでのやりとりを説明すると…
① 身元、および現在の状況の確認
⚫ 僕とカミさん、そして子供達の名前と生年月日
⚫ 現在の住所と引っ越してきた年と月
⚫ 毎月の家賃の額
⚫ 現在住んでいるフラットのベッドルームの数と子供の年齢
⚫ 在留資格
⚫ 登録している地元の診療所 (GP) の名前
⚫ 仕事をしているかどうか / 職種
こんな感じでした。
その後、”Housing Jigsaw” というwebサイトのリンクが送られてきて、そこに関連書類をアップロードする事になります。
続いて聞かれたのが…
② 自分で実際に不動産めぐりをして部屋探しをしたかをチェック!
これをやったか、やっていないかは実はとても重要なことで、家から追い出されるというのに、自分では何も努力をしていないうちからカウンシルに助けを求めるとは、怠慢すぎるってことですね。
自分が住みたいエリアの物件(うちらの場合は3ベッドルーム) の家賃の相場を聞かれました。
(値段が高すぎて手が出ないことも伝えました。)
③ カウンシルフラット不足の現状の説明
実はイーストロンドン全体で起こっていることなのですが、その中でも特に “ハックニー” と呼ばれる、僕が住んでいる区域は、都市開発が進んでかなり住みやすいエリアに変わってきているため、シティに通うビジネスマンたちをターゲットにした高級住宅はガンガンと建てられていく一方、地元に住む平均的な給料をもらっている人たちが手が届くフラットは超不足というヒドい状態。
カウンシルフラットに入居希望で「待ちリスト」に入っている人だけで現在13,000人と伝えられました。
さらに、最終的に家が見つからず、裁判所からの通告で現在の家を追い出されるとなった場合、テンポラリーな家があてがわれるわけですが、その場所については、例えば仕事先や学校に2〜3時間かけて通わなくてはならない遠い所になる可能性もあり、カウンシルフラットの空きができるまで、数年間そこで生活を続けなくてはならなくなってしまうという恐れもあるそうです。
それではどうしたらいいのか?と言うと…
④ 政府からのサポート
「現在カウンシルが薦めているのが、プライベートの大家さんから家を借りて、家賃の払えない部分を政府からのサポートでカバーする」という手段。カウンシルに助けを求めて申請してくる人たちの大半は、この方法で住む家を見つけることになるそうです。
というわけで、これらの査定が終わると、関連ウェブサイトのリンクとともに、ハウジング担当の人から今後の行動についてのメールが送られてきます。
PHP (Personal Housing Plan)
というわけで、これからやっていくことは、カウンシルから送られてくる
“PHP” 「パーソナル・ハウジング・プラン」
のなかに盛り込まれた内容となります。
シェルターのウェブサイトによると、この “PHP” をちゃんとやらないと「家を探す意欲がない」と見なされ、助けてもらえなくなってしまうそうです。
あと、ハウジング担当の人から送られてくるメールに添付されているフォーマルな書類には、カウンシルの助けが書類が送られてから56日後に終了するなど、重要なことが書かれているため、見落としがないように何度もチェックしましょう。
まずは自分が住む場所で得ることができる”LHA”のレートを知る!
Local Housing Allowance (LHA) を日本語で言うなら、
「各地域の住民が、ちゃんと屋根の下で暮らしていくために割り当てられる補助金」
となります。
この ‘LHA’ は、その人が住む地域によって率が異なってきます。
‘Directgov‘ というウェブサイトを訪れ、
⚫ あなたの家族構成で認められているベッドルームの数
(下の方にある ‘LHA Bedroom calculator‘ のリンクから確認できる)
⚫ あなたが住む場所の郵便番号、またはあなたが所属する地区名
を入れると、あなたが “max” で受け取ることができるとした場合の、政府からもらえる補助金の額を知ることができます。
もう一つ送られてきた興味深いリンクが、こちらの2020年の「BBCウェブサイト」でフィーチャーされていた “House Price Calculator“.
このサイトではまず、家を買う/ 借りるを選択し、そしてベッドルームの数、前金をいくら払えるか(買う場合のみ)、月々いくら払えるのかを入れて、最後に地区を選択すると、そのエリアでの(自分が選んだ条件の)家の月々の家賃の最高値、真ん中、最低限の値段が出てきます。
ちなみに僕はハックニーで、3ベッドルーム、月々払える家賃を £1,500 と入れてみると…
Hackney / Monthly payments
Low end: £1,988 unaffordable
Mid market: £2,328 unaffordable
High end: £2,759 unaffordable
こんな結果になりました。
(これを調べてから、すでに5ヶ月が経過しているため、僕の経験からして現在のハックニーの家賃は Mid marketでも£3,000は超えると思います。)
どちらにしても、全然手が届いていません。💦 w
ベネフィット・カルキュレイター
上で説明した “Directgov” のサイトで、最高でどれぐらいのサポートをあなたの住む地域で受け取ることができるのかがわかりました。
次に、あなたの個人的な状況を踏まえて実際にどれだけのサポートを受け取ることができるのかを知ることができるのが、この ‘turn2us‘ と呼ばれるウェブサイトとなります。
リンクからサイトを訪れると、画面が3つセクションに分かれているので、一番左の ‘Use the benefits calculator‘ のボタンを押したら、あなたの仕事、収入、現在の状況に関する質問が次から次へと出てくるので、あとはそれに答えていくだけです。
質問に全て答え終わると、最終的にあなたがどれぐらいの補助金を受け取ることができるか数字で出てきます。
ここで、画面に OOO-OOO-OOO という感じで、キャピタルのアルファベットと数字の混じった参照番号が出てくるので、スクショするなり、メモをとるなりして大切に保管しておきましょう。
さて、ここで大事なのは、あなたがすでに受け取っているかもしれない、または受け取る権利があるかもしれない…
Child Tax Credit : 子供を持つ親に支給される児童税控除
Housing Benefit : 低所得者や失業者に支給される住宅費補助手当
Child Benefit : 子供を持つ親に支給される手当 (高所得者への配給は2013年から廃止されている)
のことが画面に出てきますが、’Child Benefit’ を除いた最初の2つは2013年に’Universal Credit‘ (ユニバーサル・クレジット) の制度が導入されて以来、そちらに移行されています。
さらに下にスクロールすると、ユニバーサル・クレジットを申請した場合にあなたが受け取ることのできる額が表示されています。
ユニバーサル・クレジットに移ったほうが、あなたにとって利点となるのであれば、 “How to claim“ のボタンを押して、先へ進みます。
ユニバーサル・クレジット
というわけで、ボタンを押すと政府が管理している ‘GOV.UK‘ のウェブサイトのユニバーサル・クレジットのセクションに行き着きます。
アカウントを持ってない方は、ここでユーザーネームとパスワードを作成します。
レジスターした後は、スタートボタンを押し、延々と続く質問の嵐に答えていきます。
(カップルの場合は、2人ともそれぞれ質問に答えていかなくてはならないのですが、はじめにアカウントを作った人の画面に紹介コードみたいなものが表示されるので、もう片方のパートナーの方は、そのコードを使ってアカウントを作ると2人のアカウントがリンクされます。)
このフォームを記入するのは、ちょっと手こずりましたね。難しくはないのですが、根気が必要とされます。
ユニバーサル・クレジットは基本的に、下にリストされた手当…
⚫ Child Tax Credit
⚫ Working Tax Credit
⚫ Housing Benefit
⚫ Income Support
⚫ Income-based Jobseeker’s Allowance (JSA)
⚫ Income-related Employment and Support Allowance (ESA)
にとってかわるもので、この中に ‘Child Benefit’ が含まれていないというのがポイントです。
つまり ‘Universal Credit’ と’Child Benefit’ を足したものが、あなたが受け取ることのできる補助金の合計額ということになります。
ここで注意しておきたいのは、このうちの ‘Tax Credit’ の部類をあなたが今受け取っているのであれば、ユニバーサル・クレジットに申請した時点で、それらはストップされます。そして、ユニバーサル・クレジットの申請結果の合否に関係なく、’Tax Credit’ の再申請は認められないということです。
ユニバーサル・クレジットに関する記事も書いているので詳しくはこちらを参考にしてください。
さて、嵐のような質問に答え、必要書類をアップロードして全てを終わらせると、最終的な身元確認ということで面会日と時間、そして場所が指定されます。
あなたのアカウントには、必要とされる書類のリストが送られてくるので、当日それらを持って指定された場所へ行き、用を済ませたら後は結果待ちです。
家探しとその厳しい現実
ハウジング担当の人から送られてきたメールの中には、PHP (パーソナル・ハウジング・プラン)以外にも、”Self-Source Guide” と題された書類が添付されていました。
簡単に言ってしまうと、自分で物件を探す際の注意事項などが書かれたものです。
「現在住んでいるエリアにこだわらず、他の区域も含めた広範囲でサーチした方が物件が見つかりやすい」という内容も含まれていましたが、僕らの場合、子供たちが現在通っている安全な学校からあまり離れたところには移りたくないので、これは無理でしたね。
そしてここから実際に物件探しの段階に入っていくという事で、家探しのサポートをしてくれるカウンシルの役人である “Benefits and Housing Needs Officer” が新たに紹介され、以後この人と連絡を取り合っていく事となります。
この “Benefits and Housing Needs Officer” は、あなたの金銭事情が苦しく、見つかった物件のデポジットが高すぎて払えないと判断した場合に、大家さんと連絡をとって、カウンシルからの補助金をアレンジしてくれたり、どうしても見つからない場合に、あなたの経済状態に見合った物件を紹介してくれたりします。
まずは不動産系のウェブサイト、zoopla、right move などを利用してエリア、部屋の数、家賃などをチェックし、手頃な物件が見つかったら、不動産とアポを取って物件の下見をさせてもらいます。(ちゃんと下見をしてからでないと、Benefits and Housing Needs Officerは、あなたのケースを取り扱ってくれません。)
住みたい物件が見つかった時点で、その物件を取り扱う不動産の担当者にカウンシルが関わっていると伝え、その後 “Benefits and Housing Needs Officer” に、不動産の担当係、そしてその物件の大家さんの名前と連絡先を伝えると、カウンシルの役人が間に入ってくれる、と言うシナリオなのですが…
残念ながら….
ハウジング危機が最高潮に達している現在のロンドンで、このシナリオはもはや通用しません!
例え、あなたが経済的に払える金額とユニバーサル・クレジットのサポートを合わせたら、確実に家賃がカバーできる状態であっても、たいていの不動産が提示してくるこの必須条件…
家賃の30倍の年収があるか?
で、大抵の人はブロックされてしまいます。
ちなみにウチらが探している3ベッドルーム・フラットは、僕が住んでいる地区(Hackney)では、平均3,000ポンドなので、年間90,000ポンドの収入がないと、不動産側は承諾してくれないという事になります。
さらに、1つの物件に対して約20人の個人、またはファミリーがコンタクトを取ると言われているので、競争率はメチャメチャ激しいです。
運良く物件が残っていたとしても、カビだらけのひどい物件と言うのはよくある話です。
それでもホームレスになるよりはマシと判断して、健康と引き換えに住む人もいますが…
カウンシル側も、提供できる物件が不足していてヘルプできない状態なため、家族を持っている、子供が地元の学校に通っているなど、その地域に残りたい特別な理由がある人たちは完全に身動きが取れなくなってしまいます。
というわけで、もしあなたが現在、ロンドンの中心街に近い地区(borough)に住んでいて、年収が平均レベルなのであれば、不動産巡りをしても時間の無駄と言っていいでしょう。
物件探しをしている間に、下のような動画👇を発見しました。
これを見た時、ウチらとほぼ同じエリアに住んでいて、普通に働いている家族がホームレスになってしまう現在の状況を理解し、さすがにヤバイと感じたので作戦を変更しました。
知り合いを当たる
というわけで、まず大事なのは「自分の状況をまわりに知らせること」です。
まわりがあなたの状況を知らなければ、情報を提供してあなたのことを助けることができませんし、何よりも…
誰がどんなコネクションを持っているか分かりません!
ウチらの場合も、カミさんのママ友つながりで、物件を持っている人が数人いたり、自分の住んでいるフラットの上に住んでいる人が引っ越すなどの情報をくれる人が現れました。
中には、どこにも引っ越すところが見つからなかった場合に、期限付きでしばらくの間、タダで家を貸してくれるという人の連絡先まで教えてくれました。
いろいろと悩んだ結果、テンポラリーのところに移って、結果的に2回も引っ越しをすることになるのは、経済的にも体力的にもかなり消耗するであろうということで、今の大家さんに頼み込み込んで、現在住んでいる2ベッドフラットにこのまま暮らせるように、大家さんが物件を売った相手に聞いてもらう事になりました。
2人の子供達うちの1人にウチらがいま使っているベッドルームを譲り、自分たちはソファーベッドを購入してリビングで寝る事で、子供たちに別々の部屋を持たせるというノルマは解決です。
しばらくの間は狭い思いをしますが、この間に節約をしつつ、知り合い関係からの「3ベットルーム空き」のさらなる情報を待つという作戦です。
まとめ
というわけで、僕と同じ様に世帯持ちで Section 21(大家さんからのフラット立ち退きの要求) を食らった場合、不動産をまわってプライベートの物件を探すのに時間を潰すよりも、知り合いをあたってコネクションをたどることをオススメします。
やるべきことをまとめると、下のような感じですかね。
⚫カウンシルのウェブサイトや担当者を通じて、ハウジングサポートの申請を行なう。
⚫ユニバーサルクレジットを申請する。
⚫知り合いに状況を伝え、可能なネットワークを活用して物件情報を集める。
⚫現在の大家さんがフラットを売る相手が、引き続き部屋の貸し出しのビジネスをするのであれば、現在の大家さんに頼み込んでもらう。(Section 21を食らったとはいえ、現在の大家さんもあなたの大事なコネクションです。)
立ち退き通告は、とにかくしんどいです。
生活するために普段は普通に仕事をしているわけですから、その合間にカウンシルと連絡を取り合わなくてはなりませんし、役所系は向こうの都合で連絡をしてくるので、毎日そのチャンスをミスらない様にドキドキです。
それに、いろんな人と連絡を取るので、フォーマルなEメールをかなりの頻度で書きましたね。
(僕は地元の国会議員にも、ハックニー区の区長にも手紙を出しましたが、ロンドン自体が深刻なハウジング危機ということで、結局どうにもなりませんでした。)
精神的にもかなりキツイので、はじめから長期戦になると見越して、肩の力を抜きつつも、淡々とこなしていくつもりでいくといいでしょう。
というわけで今回の記事は以上となります。
それではまた。
コンカズ
*この記事の英語ヴァージョンはこちらから
👉 Landlord has given you a notice of eviction out of the blue, and… what’s the next move? 《Part ②》